(ブルームバーグ):国内最大級の国債投資家である全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)は、主な投資対象の30年国債の利回りが2025年度に過去最高水準の3%へ上昇することを想定している。ボラティリティーの大きさと金利先高観の強さから、国債投資には慎重に臨む方針だ。
小林生太資金運用企画部長は12日のインタビューで、新発30年債利回りが25年度に3%へ上昇することは「当然、可能性としては排除できない」と述べた。日本銀行が同年度に2回利上げし、政策金利を1%にすることで、債券市場全体で利回りが引き上がると予想。長期金利の指標となる新発10年債利回りは現在の1.5%前後から「2%くらいまでの間」で推移するとの見方を示した。
30年債利回り3%は、日銀がゼロ金利政策を解除した00年の過去最高(3.03%)に迫る水準だ。足元では一時2.6%台と約19年ぶりの高水準に上昇し、既に中国債を超えて世界最低金利から脱却している。3%ともなればドイツやカナダなど海外の主要国債とそん色のない水準に近づく。
JA共済連の国債保有額は24年3月末時点で39兆1717億円と、かんぽ生命保険や日本生命保険を上回る。生命保険会社と同じく超長期債を主な投資対象としている。
小林氏は、日本の金融政策は海外に比べて緩和的で、物価情勢から政策金利を上げる余地があると指摘する。長期金利が「どこまで行くか分からないというのが一番の不安要素」だとして国債は「積極的に買いづらい」と述べた。
年度末が近づく中、急速な金利上昇により投資家の多くは保有国債に含み損を抱えている。この点について小林氏は「保険会社と同様、(保有債券を時価評価しなくても良い)責任準備金対応債券という区分に入れているので、特に運用に制約が生じることはない」と言う。
過去2年ほど、含み損を抱えた国債を利回りの高い国債と「かなりの規模」で入れ替えてきたとし、来年度以降も必要があれば入れ替えを続ける考えを示した。
海外投資に関しては「為替リスクを取って外貨建て債券の運用を拡大するという志向は持っていない」と説明。ヘッジ付き外債も「円債にだいぶ金利が付いてきたので、それほど魅力的ではないかもしれない」と述べた。社債などのクレジットは「スプレッド(上乗せ金利)が加わるため、それなりに魅力的」だとし、分散投資としては「あってもおかしくはない」と話した。
--取材協力:山中英典.
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