日産自動車は米国などの最先端テクノロジー企業との次世代車の開発も視野に入れた提携を模索している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

関係者らはテック企業との提携において、日産は単なる製造受託業者の立場ではなく開発段階から関与し、安全性の確保や各国での認証取得といった知見を提供できるとの考えを示した。条件のいい相手を見極めながら可能な限り速やかに相手を絞りたいとしている。

電気自動車(EV)や自動運転、さらにソフトウエアで車の機能や性能を決める「SDV」の登場で、米国や中国の大手テック企業が自動車分野に参入する動きが出ている。ただ、そうした企業には車づくりのノウハウがなく、日産が製品価値の向上に貢献できるとみていると、関係者は話した。

日産は11日に取締役会を開き、内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)の進退などを決める見通しだ。内田社長は2月13日の決算会見でリストラ案に加えて、新たなパートナー探しの進捗についても1カ月後をめどに公表するとしており、新たなパートナー探しの進捗(しんちょく)についても近く発表される可能性がある。

日産広報担当の永井志朗氏は同社から説明した内容ではなく、コメントは差し控えるとした。

ホンダとの共同持ち株会社設立計画が頓挫した日産に対して、鴻海精密工業も協力に関心を示し、仏ルノーが保有する日産株の取得を検討し得るとの考えを明らかにしていた。複数の関係者によると、鴻海との協力に対してはオープンな姿勢だが、製造受託企業の鴻海に比べ有力テック企業と直接取引する方がメリットが大きいと考えているという。

開発断念も

EVでは従来の内燃機関の車より構造が簡単になることもあり、ソフトウエアに強みを持つテック企業が自動車に参入するケースが増えている。グーグル傘下のウェイモはロボタクシー運営で実績を重ね、小米(シャオミ)もEVを投入している。

一方で、米アップルは昨年、巨額の資金を投じてきた「アップルカー」の開発を断念。理由の一つには自動車製造ビジネスが経済的に厳しいものだったことがあり、開発の過程でアップルはテスラやメルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、マクラーレン・オートモーティブなどとの提携や買収も検討したとされる。

米国や中国の販売不振で業績が悪化した日産は、昨年12月にホンダとの共同持ち株会社の設立に向けた交渉を開始したが、当初の枠組みと異なる子会社化案を提示されたことなどで破談。その後日産のパートナー探しに関する報道が相次いだ。

(日産広報のコメントを追加して更新します)

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