セブン&アイ・ホールディングスは、買収提案を受けているカナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールと「より深く」関与すべきだと、セブンの株主である米資産運用会社アーチザン・パートナーズ・アセット・マネジメントが同社に圧力をかけている。

アーチザンのポートフォリオマネジャー、デービッド・サムラ、ベンジャミン・ヘリック両氏はセブン取締役会宛ての9日付書簡で「取締役会は幾つかの決定を下したが、それには重要な疑問がある」と伝えた。

その上で「これらの疑問は利益相反の可能性に加え、セブンにとって最善の未来となり価値を最大化させる道筋を追求していないことに関連する」と主張した。

一方、セブンは10日に株主向けの書簡を公開し、アーチザンから送付されたレターを認識しているとした上で、全ての事実を把握していない同社が、株主価値顕在化に向けたあらゆる選択肢を追究するという当社の姿勢について誤った認識をしていることを遺憾に思うと指摘した。

週明けのセブン株は前週末終値に比べて反発して取引を開始した。一時、同1.8%高の2130円を付けた。

セブンに対し通常業務時間外にコメントを求めたが、すぐに回答はなかった。ブルームバーグ集計データによると、アーチザンはセブンとクシュタールの株式をそれぞれ約1%保有する。

「サークルK」ブランドを所有しコンビニエンスストアとガソリンスタンド事業を展開するクシュタールは昨年、セブンを1株18.19ドルで買収する提案を行った。

セブンは、株主価値向上に向けた企業改革で買収提案をかわしてきた。先週には、取締役スティーブン・デイカス氏の次期社長就任や、イトーヨーカ堂など非中核事業を束ねるヨーク・ホールディングス株を8147億円で米投資ファンドのベインキャピタルに売却すること、総額2兆円規模の自己株取得、北米コンビニ事業を運営するセブンーイレブン・インク(SEI)の新規株式公開(IPO)など幅広い変更を発表した。

数カ月にわたりセブンとクシュタールの交渉を求めてきたアーチザンは、デイカス氏がクシュタールの買収提案を扱う特別委員会の委員長を務めていることや、「セブンで同氏の役割が検討されている」際に指名委員会の委員だったことについて「深刻な疑問」があると指摘した。

企業統治の「最低限」の基準を踏まえると、デイカス氏は両委員会での職を辞すべきだと主張した。

アーチザンは「特別委が徹底的な評価プロセスを通じて運営されてきた、あるい引き続き運営されると株主は信頼できない」とした上で、セブンの回答次第では、次回の年次株主総会でデイカス氏ら取締役に反対票を投じる可能性が高いと表明した。

原題:Shareholder Pushes Seven & i to Engage With Couche-Tard (1)(抜粋)

(セブンのコメントと株の動きを追加しました)

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