(ブルームバーグ):世界最大の石炭市場である中国が石炭の輸入規制を再開する可能性があると米銀モルガン・スタンレーはみている。業界団体が中国市場での供給過剰の深刻化に警鐘を鳴らした。
同行のサラ・チャン氏らアナリストらはリポートで、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟していることを踏まえ、全面的な輸入禁止措置は現実的ではないものの、当局が輸入延期や検査実施に動くことが考えられると説明した。同じような制約は2014年と17年、18年にも導入された。
中国は22年まで年間約3億トンの石炭輸入上限を維持していたが、エネルギー安全保障上の懸念から、現在はその水準を大きく上る輸入をしている。昨年は5億4300万トンと、過去最高を更新した。

だが、中国煤炭運銷協会(CCTD)と中国煤炭工業協会(CNCA)は2月28日、需要が現時点で予想を大幅に下回っており、石炭価格が急落し、炭鉱の採算性が継続的に低下していると発表。供給過剰に対処するため、炭鉱は生産量を抑制し、輸入会社は低品質石炭の出荷を抑制すべきだと呼びかけた。
中国政府は21年に経験した電力不足の再発を回避しようと、ここ数年は石炭生産を重視。さらに22年にロシアがウクライナで戦争を始めたことを受け、石炭政策を強化した。この政策はエネルギーの安全保障には寄与しているものの、脱炭素化の進展を犠牲にしており、炭鉱での死亡事故も相次いでいる。
原題:China Could Restart Import Controls on Coal as Oversupply Mounts(抜粋)
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