三村淳財務官は26日、南アフリカ・ケープタウンで開幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の初日の討議後、日本銀行の政策に対する市場の見方と「齟齬(そご)はない」と述べた。現地で記者団の取材に応じた。

三村財務官は足元の経済を踏まえて、日銀から金融政策の今後の見通しについてメッセージが出てきているとの認識を示し、そうしたメッセージとその背後にあると思われる市場の認識について、自分自身も「基本的に齟齬はない」と受け止めていると述べた。

為替市場に限らず、金融市場全体にもたらす投機的な動きの影響を「当然、引き続き見ていかなければならない」と三村財務官は述べ、過度の変動に注意し続ける必要性を指摘した。

財務省幹部は世界経済の不透明性は高いと指摘し、自由で開かれた貿易の重要性を強調。日本はG20の討議で、ロシアによるウクライナ侵攻を強く批判したとも同幹部は述べた。

今回のG20は米国のトランプ政権発足後初の会議。27日まで2日間の日程で、世界経済や貿易、金融市場のリスクなどについて意見が交わされる。ただ、ベッセント米財務長官が欠席するなど、実質的に米国抜きでどこまで議論を深められるかは不透明だ。共同声明(コミュニケ)を発出できるかも見通せない。

円相場は米新政権の政策に対するリスクオフの動きなどから、25日のニューヨーク時間に一時1ドル=148円57銭と、4カ月半ぶりの高値を付ける場面があった。26日には軟調に転じ、ニューヨーク時間午前に149円89銭を付けた後、下げ渋っている。

日本銀行は1月の決定会合で政策金利を0.5%に引き上げ、今後も経済物価情勢が見通し通りに改善していけば利上げを続けていく姿勢を示している。

G20ではこれまで、為替について「過度な変動や無秩序な動きが、経済および金融の安定に対して悪影響を与え得る」との認識を共有してきた。

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