(ブルームバーグ):ウクライナは、同国の天然資源を共同開発する取引で米国と合意した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。ウクライナが合意したことでトランプ米大統領との間で最近高まっていた緊張が緩和し、トランプ氏が目指すロシアとの停戦が前進する可能性がある。
非公開の情報だとして匿名を条件に語った関係者によると、26日にウクライナ内閣は取引への署名を勧告する見通し。ゼレンスキー大統領は合意締結のため米国を28日に訪問する予定だと関係者は語った。
トランプ氏は25日、ゼレンスキー氏が28日にワシントンを訪れる予定だと聞いているとし、これは大きな取引だと理解していると話した。
トランプ氏はゼレンスキー氏に対し、この取引を受け入れるよう圧力をかけていたが、ゼレンスキー氏は米国が過度に要求しているとして当初の案を拒否していた。同案はベッセント財務長官が今月、キーウで最初に提示した。

関係者の1人によれば、米国の支援に対する見返りとして資源採取を通じて基金に5000億ドル(約74兆5000億円)を支払うよう求める要求を米国が取り下げたことで、この取引がまとまった。ウクライナの天然資源から将来得られる利益を管理する共同基金設立で枠組み合意したという。
関係者らによると、最新の合意にも具体的な安全保障面の保証は盛り込まれていないが、ウクライナ側は保証に向けた出発点とみている。最近のトランプ氏や米当局者の言動に警戒を強めているウクライナにとって、米国による保証は重要な優先事項となっている。
米当局者は両国が経済的なつながりを持つことで事実上の安全保障の盾が提供されると述べている。細部については今後、取りまとめられる見込み。今回の合意については英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が先に報じていた。
ケイトー研究所の国防・外交政策研究ディレクター、ジャスティン・ローガン氏はウクライナと米国の合意について、「その本質は見た目ほど単純ではなく、むしろ非常に政治的なものにみえる」とし、トランプ氏は国内で「政治的な勝利をアピール」でき、ゼレンスキー氏は米国との最近の緊張を和らげられると説明した。
この合意は、特にロシアとの交渉が長引いてウクライナ追加支援の米議会承認が必要になる場合、トランプ氏が支持者に同意を取り付ける材料になる可能性がある。ウクライナは依然として武器や弾薬を米欧に頼っている。

トランプ氏は主に高強度磁石に使用されるレアアース(希土類)を5000億ドル相当確保したいと述べている。報道によると、ウクライナには10兆ドル以上の価値がある鉱物資源があるとされているものの、経済的に採算が合うと国際的に認められた主要なレアアース鉱床はない。
レアアース以外では、ウクライナにはチタンやガリウムなどの重要鉱物の商業鉱山がある。こうした鉱山は重要ではあるものの、合わせてもトランプ氏が想定している額にはならない可能性が高い。
また、仮にウクライナに経済的に採算の取れるレアアース鉱床が存在したとしても、米欧にはレアアースの精製を中国に頼らざるを得ないという問題がなおある。
原題:Ukraine Said to Agree With US on Terms for Minerals Deal (3)、Ukraine Said to Agree With US on Terms for Minerals Deal (1)、Ukraine Said to Agree on Terms for Minerals Deal (Correct)(抜粋)
(合意内容などを追加して更新します)
--取材協力:Volodymyr Verbianyi.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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