25日の日本市場は株式が反落。米国のトランプ政権が対中半導体規制の強化を日本を含む主要同盟国に迫っていることを受け、半導体関連株を中心に売りが強まった。リスク回避の動きから円相場は朝方の下げを解消し、小幅高に転じた。債券は上昇。

株式相場は米国の景気指標の悪化や人工知能(AI)需要の先行きに対する警戒から朝方から売りが先行。米マイクロソフトが米国内で一部のデータセンターのリースを解約したとのリポートを受け、テック株に対する懸念が高まった。

オルタス・アドバイザーズの日本株戦略責任者、アンドリュー・ジャクソン氏は米国の対中規制に関する報道について、26日に予定されている米エヌビディアの決算を前に「中国へのエクスポージャーが高い日本の半導体関連株を売却する理由になる」と述べた。

一方、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が買い増す意欲を年次書簡で表明した大手商社株は逆行高となった。

株式

東京株式相場は反落し、日経平均の下げ幅は一時600円を超えた。前日の米テクノロジー株安や対中半導体規制を巡る報道を受けて半導体関連株が売られた。外国為替市場の円高傾向を背景に機械など輸出関連株に採算悪化を警戒した売りも出た。

東京エレクトロン株は4.9%下落。アドバンテストやSCREENホールディングスの株価は6%以上値下がりした。

T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、マイクロソフトの話もAI分野の見通しに対する懸念をあおり、ハイテクや電線株の重しになったと話した。

一方、大手商社株は上昇し、三菱商事株は8.8%高で取引を終えた。バフェット氏は22日公表した投資家向け年次書簡で、日本の商社株保有を「時間をかけて」増やす可能性が高いとの見解を示した。

為替

東京外国為替市場の円相場は1ドル=149円台後半で推移。国内の長期金利低下を受けた円売りと、トランプ米政権による対中半導体規制強化圧力を受けたリスク回避の円買いが交錯した。

ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは、トランプ大統領の政策がドル買い材料になるかドル売り材料になるかは政策の内容と市場の受け止め次第だが、今は世界経済への悪影響など「リスクオフの材料と受け止められている」と一時149円台半ばまで円高に振れた背景を説明した。

朝方は国内長期金利の低下などを受けて、円は一時150円30銭まで下落していた。あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、円はこのところ買われ過ぎた反動で売られたが、前週末公表された購買担当者指数(PMI)の低下など米経済の先行き不安からドル・円の上値は重いと指摘していた。

債券

債券相場は上昇(利回りは低下)。米長期金利が連日で低下したほか、日本銀行の植田和男総裁による21日の国債買い入れ増額発言を受けて相場が反転した流れを引き継ぎ、買いが先行した。その後、流動性供給入札が市場で期待されたほど強い結果とならなかったことや根強い追加利上げ観測から上げを縮小する場面があった。

SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、流動性供給入札は強い結果にはならず、先物が反応した可能性があると指摘。もっとも、債券相場は米金利低下や植田総裁の発言を受けた買い戻しの流れが継続しそうだと述べた。

アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎債券ストラテジストによると、日銀が再利上げのタイミングを柔軟に判断する構えとの一部報道があったが、市場では7月より前倒しで織り込む動きが既に出ていたので相場への影響は限定的だったという。「これまでのフラットナ-(利回り平たん化)の解消など買い戻しの動きが優勢で、かき消された面もある」と述べた。

新発国債利回り(午後3時時点)

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:アリス・フレンチ、日高正裕.

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