米上院共和党は、無線周波数帯の大規模なオークション実施を検討している。トランプ政権の政策を実行するための資金の確保などが狙いだ。

上院商業科学運輸委員会のクルーズ委員長は今年、周波数帯の入札を立法措置に関する最優先課題の一つとし、同党の上院スタッフはこうした入札により約1000億ドル(約15兆2000億円)規模の資金を確保することが可能だとみている。

同委員会はこの問題についての公聴会を19日に予定している。

クルーズ氏は声明で、「周波数帯政策で米国のリーダーシップを取り戻すことは、雇用創出や国内投資、国境の安全確保と軍の強化に必要な連邦政府の財源として数十億ドルの資金を確保することを意味する」と表明した。

同氏とスーン上院院内総務は以前にも、ベライゾン・コミュニケーションズやAT&T、TモバイルUSなどの通信大手に周波数帯を入札で割り当てることを目的とした法案を推進。スペースXの「スターリンク」やアマゾン・ドット・コムの「プロジェクト・カイパー」など衛星ブロードバンドサービスも対象となっていた。

スペースXはトランプ大統領の顧問を現在務めるイーロン・マスク氏が率いている。

過去の入札案は、周波数帯の多くを軍事利用目的で保有している国防総省など政府機関の反発を招いていた。高出力レーダーや通信、ナビゲーションに周波数帯を利用している同省は、システムの再構築に数千億ドルの費用がかかる可能性があると指摘していた。

一方、共和党が議会を掌握したことや政府全体の予算削減に向けた動きが進んでいることなどを背景に、周波数帯オークションを巡る見通しは改善。ヘグセス国防長官は先月行われた指名承認公聴会で、この問題を検討し、軍事活動に支障を来さないようにすると発言した。国防総省の報道官はコメントを控えた。

連邦通信委員会(FCC)によると、連邦政府は周波数帯の入札によりここ30年間で2330億ドル余りを調達している。

原題:GOP Senators Weigh Selling Radio Spectrum to Reap $100 Billion(抜粋)

--取材協力:Roxana Tiron.

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