(ブルームバーグ):19日の日本市場では長期金利が1.435%と約15年ぶり高水準を連日で更新した。日本銀行の利上げ継続が意識される中、高田創審議委員の発言を受けて売られた。円は1ドル=151円台後半に上昇。株式は米関税政策への警戒で反落した。
高田委員は宮城県金融経済懇談会で講演した後、午後に記者会見。長期金利について、経済の実態に沿ったいろいろな思惑で動いていると指摘した。三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、高田委員は長期金利の上昇を「容認した印象で、慌てて債券を買い戻ししなくても良いという発言ではないか」と述べた。
講演で高田委員は賃上げなど前向きな企業行動の持続性が確認されて経済・物価見通しが実現していけば、利上げで一段のギアシフトを進める局面にあるとの見解を示した。従来の姿勢を大きく変えなかったとの受け止めから、債券相場は買いが優勢になる場面もあった。
債券
債券相場は長期債が下落。日銀の高田審議委員が会見で足元の長期金利上昇を容認する発言をしたことで買いが手控えられた。
明治安田アセットマネジメント債券運用部の大﨑秀一シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、高田委員の講演はおおむね想定内だったと話した。もっとも、日銀の利上げ局面で買いは難しいとし、「入れ替えベースの取引中心にとどまるのではないか」と述べた。
日銀は19日午前、定例の国債買い入れオペを実施した。対象は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、25年超で、買い入れ額はいずれも前回から据え置いた。オペ結果によると、1年超3年以下、3年超5年以下、25年超の応札倍率が前回から低下し、売り圧力の弱まりを示した。5年超10年以下は上昇したものの、1倍台にとどまった。
新発国債利回り(午後3時時点)
為替
円相場は1ドル=151円台後半に上昇した。外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、米長期金利が時間外取引で小幅低下し、ドルが主要通貨に対して売られている影響ではないかと述べた。高田委員の会見については「午前中の講演とほぼ同内容で、想定内のタカ派だった」と指摘した。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、「高田委員の会見は講演を補足する内容で、想定されたタカ派の範囲内で決め手に欠けた」と語る。トランプ大統領の関税政策の不透明感が非常に強く、円の対ドル相場は当面狭いレンジにとどまるとの見方を示した。
株式
東京株式相場は反落。トランプ米大統領が自動車や医薬品に税率25%前後の輸入関税を賦課す公算が大きいと述べたことを受け、関連する輸出関連銘柄を中心に売りが出た。日銀高田委員の発言を受けて為替が円高に振れたことも株式相場の重しになった。トヨタやキーエンス、第一三共がTOPIXのマイナス寄与度上位に並んだ。
みずほ証券エクイティ調査部の三浦豊シニアテクニカルアナリストは、「日本が対象になるかどうかはよく分からないため、関税のリスクはまだ織り込まれていないだろう」と指摘。自動車をはじめ関税対象となる業種の取引を控えようという動きになっていると述べた。
一方、日銀の利上げ期待を受けて金融株が上昇し、相場を下支えした。みずほ証の三浦氏は、利上げは銀行株にとってプラスになるとした上で、為替の円高が進めば相場全体の重しになるリスクもあると話した。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:アリス・フレンチ、日高正裕.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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