米国とロシアの高官が18日、サウジアラビアの首都リヤドで会談した。ウクライナ戦争の終結方法などが話し合われたが、ウクライナの参加はなく、欧州を置き去りにしたまま二大国で拙速な合意に突き進む可能性が懸念されている。

米ロはまた停戦協議の一環として、ウクライナ侵攻後に導入された対ロ制裁の解除を議論する方針を示唆しており、欧州との間で隔たりが深まりそうだ。

4時間余り続いた会談の後で、出席者の1人であるロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)は、プーチン大統領とトランプ米大統領の会談日程は設定されなかったと説明。首脳会談が来週実現する公算は小さいと述べた。ブルームバーグはその可能性があると報じていた。

米ロ高官の会談後、トランプ氏はフロリダ州にある邸宅「マールアラーゴ」で記者団に対し、停戦合意が交渉可能であることに「はるかに自信を深めた」と指摘。月内にプーチン氏と「おそらく」会談すると語った。

ロシア国営タス通信の報道によると、ウシャコフ氏は米ロの立場について「近づきつつあるのか断言は難しいが、会話はした」と述べた。

ウクライナ問題で米国との接触をいつ開始するかはプーチン氏が決定すると、ウシャコフ氏は話したという。

会談には米側からウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)やウィトコフ中東担当特使、ルビオ国務長官が出席。ロシア側はウシャコフ氏のほか、ラブロフ外相が会談に臨んだ。サウジのファイサル外相も同席した。

ウォルツ氏は米国側の記者会見で、トランプ氏はウクライナの恒久的な解決策確保に向け「極めて迅速に動く」ことを決意していると発言。ルビオ氏は、ウクライナの停戦プロセスにロシアが「真剣に」関与する意向だとの確信を得たと語った。ウィトコフ氏は「極めて中身の濃い」会談だったと評価した。

またルビオ氏は両国がそれぞれの大使館の人員を元に戻す準備を進めていることを示唆した。米国とロシアは、スパイ活動やハッキング疑惑、ウクライナ侵攻などを巡って互いに大使や外交官の国外追放を繰り返しており、大使館の人員は最小限に減っていた。

米国務省のブルース報道官は、今回の協議で米ロは高官級の交渉団を指名することで合意したと説明。ウクライナでの紛争を「恒久的かつ持続可能で、全ての当事者に受け入れ可能な形で」終わらせる道筋を話し合うとしている。

「一度の電話、それに続く一回の会談では恒久的な和平の確立に十分ではない。行動することが必要で、本日われわれは重要な前進を果たした」とブルース氏は語った。

FOXニュースの報道によると、米国とロシアの和平計画にはウクライナでの新たな選挙実施が盛り込まれている。計画は停戦、ウクライナでの選挙、最終合意への調印という3段階に分かれていると、FOXのジャクリーヌ・ハインリヒ記者がXに投稿した。

対ロ制裁も議論へ

米ロはまた停戦協議の一環として、ウクライナ侵攻後に導入された対ロ制裁を解除する方針であることを示唆。制裁措置の維持を望む欧州との間で新たな緊張が生じる可能性がある。

ロシアのラブロフ外相は記者団に対し、米ロが「相互に有益な経済協力の発展を阻む人為的な障壁を取り除くことに大きな関心を抱いている」と発言。経済問題に関して「具体的な解決策を見いだすことをお互いに望んでいる」とした。

リヤドでの会談後に公表された米国務省の文書では、紛争解決後の「歴史的な経済および投資の機会」を巡って将来的な米ロ協力の可能性が強調されている。

ルビオ国務長官も、制裁解除が議題に上っていることを明確にした。「この紛争の結果としてわれわれが発動した制裁措置がある」とした上で、「いかなる紛争も終結に導くには、すべての当事者による譲歩が必要だ」と述べた。

欧州連合(EU)も多数の対ロ制裁を科していることを踏まえ、EUも交渉の場に加わる必要があるとルビオ氏は認めた。

事情に詳しい関係者が非公開情報だとして匿名を条件に語ったところによると、ルビオ氏は18日、ロシア高官との会談後に欧州諸国との電話会談を実施。停戦を巡る計画について、トランプ政権は少なくともウクライナでの戦争を終結させる合意が成立するまで対ロ制裁を維持すると伝えたという。

米国務省の報道官はルビオ氏の制裁に関する発言についてコメントを控えた。ルビオ氏と欧州諸国との電話会談に関する同省の声明では、制裁に関する言及はなかったが、各国は「ウクライナ紛争の永続的な終結達成に向けて取り組む上で緊密に連絡を取り合うことで合意した」と記されている。

ロシアに対しては、外貨準備の凍結のほか、銀行や企業、エネルギー輸出に対する制裁が発動されている。また、米国の制裁対象となっている政府高官にはラブロフ外相とプーチン大統領も含まれている。

サウジ訪問中止

今回の会談はトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領との電話会談を受けて開催が決まった。トランプ氏は12日の電話会談で、従来の米国の立場を大幅に転換し、ウクライナと欧州を参加させずにロシアとの直接的なやり取りを前進させた。ウクライナのゼレンスキー大統領は「わが国についてわれわれ抜きのいかなる合意」も認めることはないと警告している。

トランプ氏は電話会談で、ウクライナの関与なしにロシアと接触することを拒否してきたバイデン前政権の政策を放棄するとともに、ウクライナの領土の完全性と北大西洋条約機構(NATO)加盟を支持するとした従来の米国の立場を大きく転換した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は自国の将来が議論された米ロ会談について、情報を間接的にしか得られていない。ゼレンスキー氏は当初、会談が行われたサウジアラビアを19日に訪問し、ムハンマド皇太子から会談内容を聞き出したいと考えていたが、その後、急きょサウジ訪問を取りやめた。

トルコを訪問しているゼレンスキー氏は、エルドアン大統領との会談後に米ロ会合に呼ばれなかったことへの失望感をあらためて示し、「私はサウジアラビアには行かない」と語った。さらに「われわれは誰よりも戦争終結を望んでいる。そしてわれわれの背後ではなく、公正な方法で終わらせることを求めている」と続けた。

サウジの準備状況について知る関係者によると、ムハンマド皇太子はゼレンスキー氏の会談出席を望んだが、米ロともウクライナ抜きでの会談を希望していると主張した。皇太子は会談におけるサウジの役割と、ロシア側および米国側とのやり取りをゼレンスキー氏に説明する予定だと、取り扱いに注意を要する問題だとして匿名を要請した関係者が明らかにした。

G7が修正検討

一方、主要7カ国(G7)はロシア産原油に対する価格上限の修正を検討している。ウクライナ侵攻を続けるロシアの石油収入を減らすことで、停戦交渉の進展を後押したい考え。

ブルームバーグ・ニュースが入手した草案によると、G7は現在バレル当たり60ドルに設定されている価格上限について、再設定を財務相に指示する可能性がある。全てのG7諸国がどの程度この文書を支持しているのか、現段階では分かっていない。

ベッセント米財務長官はこれまで、ウクライナ停戦を加速させるのに寄与すると判断すれば、対ロシア制裁を強化することもあり得るとの認識を示している。G7はロシアによるウクライナ侵攻から3年となる2月24日に、声明を発表する予定だ。

原題:US and Russia Agree to More Talks on Ukraine, Set No Summit Date、Zelenskiy Out in Cold as US Discusses Ukraine’s Fate With Russia、Zelenskiy Excluded as US Discusses Ukraine Fate With Russia (1)、Erdogan Offers Turkey as Host for Russia-Ukraine-US Talks、US, Russia Signal Sanctions Are Up for Debate in Ukraine Talks、US and Russia Move to Revive Ties as Ukraine Is Cut Out (1)、Rubio Says US Won’t Lift Russia Sanctions Before Ukraine Deal(抜粋)

(ルビオ氏の発言を追加して更新します)

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