6日の日本市場では円が上昇。日本銀行の田村直樹審議委員の講演を受けて追加利上げの観測が強まり、一時1ドル=151円台と昨年12月以来の高値を付けた。債券は金融政策に反応しやすい2年債利回りが上昇(相場は下落)。株式は円高を受けて伸び悩んでいる。

田村委員はこの日の講演で「2025年度後半には少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが物価上振れリスクを抑え、 物価安定の目標を持続的・安定的に達成する上で必要だ」との見解を示した。政策金利を0.75%に引き上げたとしても「経済を引き締める水準にはまだ距離がある」とも述べた。

野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、田村氏は円高が進む中でも一段とタカ派的になっているとし、市場としては利上げが「1%では止まらない可能性を意識せざるを得ない」と述べた。

為替

円相場は一時1ドル=151円台後半に上昇。日銀の田村委員の発言を受けて追加利上げ観測が高まり、円買いが優勢となった。

あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、利上げ織り込みが進んでいるためタカ派的な発言は避けるとの見方があった中、少なくとも1%程度まで利上げが必要などと発言したことに円買いで反応したと説明。もっとも、田村委員はもともとタカ派とみられており、今回の発言では151円台からのドル下げ余地は乏しく、いったんは押し目買いが入りやすいとも述べた。

債券

債券相場は先物が一時下落に転じた。田村委員の講演を受けて追加利上げへの警戒感が強まっており、金融政策に敏感に反応する2年債も売られている。

三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、「少なくとも1%まで利上げが必要ということはそれ以上の利上げもあり得るわけで、債券市場は改めて利上げを意識せざるを得ない」と述べた。

株式

日本株は3日続伸。米国の長期金利低下を好感した買いが優勢で、国内企業の決算を材料に個別銘柄を物色する動きも顕著だ。ルネサスエレクトロニクスは朝方発表した1-3月期の売上収益計画が市場予想を上回り、一時前日比15%高まで買われた。

為替の円高で自動車など輸出関連株の一角が売られ、相場の重しになっている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は、田村委員の発言はこれまでのデータや日銀の会見を踏まえると違和感のある内容ではないとし、日本株は上げ幅を縮めたとはいえ反応は限定的と話した。

T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは、市場は先週のハイテク株安と今週の米関税ショックをこなしていったん落ち着いているが、為替が円高傾向であることが重しになっていると話した。今週末の日米首脳会談への警戒感があり、相場の上値は重いとみている。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:船曳三郎、日高正裕、佐野日出之、山中英典.

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