ドナルド・トランプ氏が米大統領に選出された直後にウォール街はある賭けに出た。米国の同盟国や競合国に対し関税をちらつかせてはいるものの、トランプ氏が本当に株式市場にダメージを与えるようなことをするとは株式市場の自警団は考えていなかった。

その読みは3日に的中した。関税発動で世界経済が混乱するとの懸念から米国とカナダ、中国の株価指数は急落したが、トランプ大統領がメキシコのシェインバウム大統領との会談で同国からの輸入品に対する関税賦課を延期することで合意したため、取引中盤には当初の下落分の大半を回復した。

取引開始時には2%近く下落したS&P500種株価指数は、ニューヨーク時間午後0時32分(日本時間4日午前2時32分)現在0.9%安。カナダ株の指標のS&Pトロント総合指数は取引開始直後に3.1%急落したが、その後下落幅は1%に縮小。また、米国上場の中国企業で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン指数は3%の下落を完全に回復し、0.3%高。

FBBキャピタル・パートナーズの調査ディレクター、マイケル・ベイリー氏は「トランプ氏が関税で度胸比べをしているだけだろうと願っていた」と述べた。

特に関税の影響を受けやすい銘柄が盛り返した。半導体大手のエヌビディアは一時5.9%下落したが、その後は下げ幅を半分未満に縮小。ゼネラル・モーターズ(GM)の動きはさらに劇的で、6.3%の下落を一時は1%未満に縮小した。また、S&P500種のエネルギーセクターの指数は1.1%安からプラス圏に浮上した。

これは、投資家が最近の脅しを単なるポーズに過ぎないものと片付けたがっていることの表れだ。また、米金融当局のハト派姿勢や回復力のある米国経済、好調な企業収益など、今年の株式相場を押し上げてきた要因への投資家の信頼も示している。

アドバイザーズ・アセット・マネジメントのスコット・コリアー最高経営責任者(CEO)は「トレーダーらは、トランプ氏の大言壮語や派手なパフォーマンスが結局のところ、潜在的な『ディール(取引)』に行き着く傾向にあると考えている」と述べた。

原題:Wall Street’s Bet That Stock Market Will Temper Trump Pays Off(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.