(ブルームバーグ):東京ガスの笹山晋一社長は16日、同社が成長分野と見込む環境などに配慮する不動産事業について今後も注力していく方針を明らかにした。東ガスを巡っては、大株主に浮上したアクティビスト(物言う株主)が都市ガス事業と関連性の薄い不動産などの売却を求めているとの見方も出ていた。
笹山氏は都内の本社でのインタビューで、災害などに対するレジリエンス(復元力)やエネルギーの安定供給、二酸化炭素(CO2)排出削減に貢献できるシステムと組み合わせて建物や土地の価値を高めていくと述べ、ESG(環境・社会・企業統治)に配慮した不動産事業に注力していく考えを示した。
自社が抱える非効率な資産については売却を含め検討していく方針を改めて示した上で、捻出した資金についてはESG型不動産事業を含めた成長分野への投資などにも活用していくとした。
東ガスを巡っては、11月に株式の5.03%を保有していることが明らかになったアクティビストの米ヘッジファンド運営会社エリオット・インベストメント・マネージメントが東ガスが保有する一部不動産の売却を求めているとの見方もある。エリオットの保有が明らかになって以降、東ガスの株価は東証株価指数(TOPIX)や競合他社を上回るパフォーマンスとなっているが、経営効率の改善が進まなければ投資家の失望を招く恐れがある。
笹山氏は特定の株主への言及は控えるとした上で、自社を高く評価する株主のために企業価値を向上させることは重要だとし、成長投資に加え「資産効率の低いアセットについては売却とかも含めて検討していくことが大事」と述べた。不動産事業については保有する不動産を増やすだけでなく、私募不動産投資信託(REIT)などを活用し資金の回転を速めていく考えで、「リターンについてもしっかり意識してやっていく」と強調した。
海外では今後も成長が期待できる北米は有望な投資先になる見通しだ。笹山氏はシェールガス田や再生可能エネルギーの開発だけでなく、天然ガスのマーケティングやトレーディング、電力の需給調整を担う蓄電池などバリューチェーンをつなぐ投資を行っていく考えを示した。
--取材協力:Shery Ahn.
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