米ロサンゼルスでは壊滅的な山火事が地域全体を焼き尽くす前から住宅の価格が高騰し、手が届かない危機的状況にあった。今回の災害により、状況はさらに深刻化している。

地域で屈指の高級住宅街で物件の管理・賃貸を手がけるLAエステート・レンタルズのオーナー、パトリック・マイケル氏によれば、問い合わせの電話は1日500件と、火災前の10倍超となっている。

マイケル氏は最近、ビバリーヒルズの物件に1年の賃貸契約で月額3万5000ドル(約550万円)を支払う入居者を仲介した。山火事発生後で契約が締結される前に、物件のオーナーは家賃を4万ドル(約630万円)に値上げしたという。

電話取材に応じたマイケル氏は「不動産市場で起こっていることはむかつくほどひどい」と述べ、「人々は価格をつり上げている。入札合戦と化している」と語った。

海辺にある焼け落ちた住宅(1月10日)

全米第2の都市ロサンゼルスは長年、購入や賃貸が難しい市場の一つとして知られてきた。これまでに少なくとも24人の死者を出した今回の山火事は、住宅を中心とする1万2000棟余りの建造物を破壊したため、突然住む場所を失った人々が大勢でてきている。

ロサンゼルスのバス市長は14日、「絶望につけこむような行為は恥ずべきことだ」とし、郡と市の地方検事らと価格つり上げについて協議したと述べた。

不動産サービス会社コスター・グループによると、ロサンゼルス市内のアパートの空室率は山火事発生前で約5%で、家賃の中央値は2299ドルだった。山火事の被害を受けた地域ではさらに市場の需給が逼迫(ひっぱく)し、「イートン火災」の発生地に近いパサデナでは空室率が3.8%、「パリセーズ火災」の発生地であるロサンゼルス郡西部では2.1%だった。

避難者は焼失した物件に近い住宅を探しているため、既に物件が不足している地域では競争が激化している。多くの入居希望者が火災で持ち物を全て失ったため、家具付き物件への需要が高まり、その分、家賃も高くなっている。

不動産サイト運営のジロー・グループは、山火事発生以来、価格つり上げに関する規則に違反していると思われる数百件の物件情報を削除した。

LAエステート・レンタルズのマイケル氏によると、賃貸物件のウェブ広告を見て電話をかけてきた人々が既に契約済みだと告げられ、全く異なる物件をより高い価格で勧められているという。

原題:LA Rental Hits $40,000 a Month as Fires Roil Housing Market (1)(抜粋)

--取材協力:Kate Seaman.

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