今年活況が期待されていた新規株式公開(IPO)市場が、早くも大きな課題に直面している。米国債利回り上昇が、企業の上場意欲をそぐ可能性があるからだ。

過去2年間の大幅な株高を受け、米国のIPO件数は2025年に新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準まで戻ると期待されていた。ただ株式市場の先行きには懸念が生じている。米経済はなお過熱しており、米金融当局は追加利下げを急いでいないとの見方から、債券利回りが上昇している。

バークレイズの米州株式資本市場責任者、ロバート・ストー氏は「金利がIPO市場の主要な逆風になる可能性がある」と指摘。「株式市場に影響するなら、IPO市場にも影響があるだろう」と話した。

先週発表された強い米雇用統計を受け、米30年債利回りは一時、1年超ぶりに5%台に乗せた。スワップ市場が織り込む年内の米利下げは、25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)のみとなっている。

債券利回り上昇は、IPOを目指すような高成長企業のバリュエーションの重しとなる可能性がある。そうした企業の株価は、向こう数年の予想利益に左右されることが多いためだ。IPO候補企業による株式公開の先送りにもつながり得る。

ノムラ・キャピタル・マネジメントのクロスアセット戦略部門の責任者、マシュー・ロー氏は「今年IPO銘柄を売り込むのは難しいだろう」と指摘。「資金が必要な企業は決断を迫られ、低い価格で公開することになりそうだ」と述べた。

原題:US IPO Market Rebound Faces a Reality Check as Yields Spike(抜粋)

--取材協力:Bailey Lipschultz.

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