トランプ次期米大統領の経済チームは、関税を月ごとに徐々に引き上げる案を検討している。段階的に引き上げることで交渉力を高め、インフレ高進を回避する狙いがある。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

関係者によると、関税を月ごとに約2-5%引き上げる案が一つの選択肢として浮上している。国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく措置になる見通しという。

14日のアジア市場では、次期米政権の関税引き上げが段階的に行われる可能性があるとの見方から楽観的ムードが広がり、中国および香港株主導で株価が上昇した。中国本土株の指標、CSI300指数は一時2.3%、香港ハンセン指数は1.7%それぞれ上昇した。

一方、段階的な関税引き上げがインフレ不安を和らげ、米連邦準備制度に利下げ余地が生じることにより、米国債の利回り上昇が押し戻されるとの期待も高まった。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は、過去6営業日で初めて下げた。

初期段階の案は、トランプ氏にはまだ提示されていないと関係者は語った。

計画の策定に取り組んでいるアドバイザーには、次期財務長官候補のスコット・ベッセント氏、国家経済会議(NEC)委員長に指名されたケビン・ハセット氏、大統領経済諮問委員会(CEA)委員長に指名されたスティーブン・ミラン氏が含まれるという。内部の協議を理由に関係者が匿名を条件に明らかにした。

ベッセント氏の広報担当とハセット氏にコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。ミラン氏はコメントを控えた。

トランプ次期大統領の政権移行チームのスポークスマンは、関税に関するこれまでのトランプ氏の発言やソーシャルメディアへの投稿に言及した。

トランプ氏は2024年の大統領選キャンペーンを通じて、全ての輸入品に10-20%のユニバーサルベースライン関税、中国からの輸入品には60%の関税を課すと表明した。

トランプ氏の当選後、いかに積極的に同氏が関税を実施するつもりかを巡り、幾つかの観測が報じられた。一律関税の対象を経済・国家安全保障上の重要品目に絞る案が検討されているという米紙ワシントン・ポストの報道に対し、トランプ氏は「誤りだ」と否定した。

グローバルXマネジメントの投資ストラテジスト、ビリー・レオン氏は「ユニバーサル関税の段階的引き上げのニュースは、中国への影響についてより楽観的なセンチメントを生じさせた」と指摘した。

原題:Trump Team Studies Gradual Tariff Hikes Under Emergency Powers、Dollar Slips, Chinese Stocks Rise on Tariff Report: Markets Wrap、Chinese Stocks Rise on Report of Gradual US Tariff Rollout(抜粋)

(アジア市場の動向などを追加して更新します)

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