(ブルームバーグ):24日の日本市場では円が反発した。前日の米国金利上昇を受けたドル買いや実需の円売りが先行した後、加藤勝信財務相の円安けん制発言をきっかけに買い戻された。
円は一時1ドル=156円89銭まで上昇。日本銀行の利上げ観測後退と米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ慎重姿勢を背景に円売り・ドル買い基調が続く中、午前10時前には157円39銭まで下落していた。
加藤財務相は午前の閣議後会見で、円相場について「足元では一方的、また急激な動きが見られる」とした上で、「為替市場の動向を憂慮しており、行き過ぎた動きには適切に対応を取りたい」との見解を示した。
関西みらい銀行の石田武ストラテジストは「実弾介入が差し迫っている感じではない」ものの、年末年始まで流動性が低下し、介入が入ると値動きが大きくなる可能性があるため、新たな円売りは仕掛けづらいと話した。
株式は東証株価指数(TOPIX)が前日終値を挟んで推移。ホンダを中心に自動車株が買われた一方、サービスや情報・通信といった内需関連が安かった。債券は米長期金利が5月以来の水準まで上昇したことを受け、中長期債が売られた。
為替
東京外国為替市場の円相場は買い戻しが優勢。加藤財務相のけん制発言を受けて円売りに警戒感が広がった。
朝方は前日の米国金利上昇を受けてドルが強含んでいた。日本銀行が公表した10月の金融政策決定会合の議事要旨で強い利上げ姿勢が見られなかったとの受け止めも円の重しとなっていた。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、クリスマスを前に市場参加者が少なくなっていることから「基調としての円売り安心感はあるが、値幅を伴った動きにはなりにくい」と話していた。
株式
東京株式相場はホンダ株が大幅続伸するなど自動車が高く、銀行や電気・ガスといったバリュー(割安)株にも買いが入った。半面、電機やサービス、情報・通信が安く、相場の重しとなった。
ホンダの株価は一時17%高と急騰。23日に発表した日産自動車との持ち株会社設置に向けた本格協議の開始と、それに伴う最大1兆1000億円の自社株買いが好感された。日産自動車も午後の取引で上げに転じ、一時8%近く上昇した。
水戸証券投資顧問部の酒井一チーフファンドマネジャーは、投資家はこれまで堅調だった情報通信株からシフトしており、海外投資家が休みに入り相場の方向性が出にくくなる中で、自動車株には買いが入っていると指摘した。
クリスマスの海外祝日を前に取引は低調で、東証プライム市場の売買代金は概算で3兆943億円と今年最低だった。
債券
債券相場は中長期債が下落。米長期金利の上昇を受けて売りが優勢となった。市場参加者が減少する中、25日に予定される日銀の植田和男総裁の講演を見極める姿勢も強かった。
大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは、植田総裁講演が「確認すべき注目イベントであることは確かだ」とし、金融政策決定会合後の会見が市場でハト派的に受け止められたため、発言トーンの変化に注目していると述べた。
一方、この日行われた残存期間15.5年超39年未満の流動性供給入札は強めの結果となり、超長期債は買われた。小野木氏は、残存25年近辺など「一部で需給が締まっている銘柄が含まれたため、需要が集まったのではないか」との見方を示した。
日本債券:流動性供給の過去の入札結果(表)
新発国債利回り(午後3時時点)
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--取材協力:長谷川敏郎.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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