中国経済の減速が深刻化する中、同国政府が「桁外れ」の景気対策を打ち出すと発表しました。中国経済は再浮上の芽があるのか、米トランプ次期政権への対応や、日本への影響と合わせて、専門家が解説します。

中国は難局を乗り越えられるか?ポイントは「全人代」と「財政出動の中身」

「中国経済は今、追い込まれている」と指摘するのは、ニッセイ基礎研究所の主任研究員で、同国経済が専門の三浦祐介さんです。中国共産党指導部は12月9日、経済を支えるため「適度に緩和的な金融政策とより積極的な財政手段」を講じると表明しました。

詳細は明らかでないものの、10年あまり前の世界金融危機以来見られなかった強い表現で、中国の国内経済はそれだけ低迷していると言えそうです。

経済減速の引き金となったのは不動産不況です。「そのきっかけは2020年のデベロッパー向け融資規制だった」と三浦さんは解説します。規制の結果、不動産価格の下落が続き、国内経済全体へ波及しています。先行きへの不安から国内消費も低迷している状況です。

不動産危機への対処で地方政府は未販売物件を買い取ったり、建設途中の住宅に資金を投入したりする対策を進めています。ただ地方自治体の財政状況も厳しさを増しており、債券発行による資金調達を余儀なくされている状況です。

この難局を中国政府が乗り越えられるか。その試金石は来年3月に開かれる重要政策を決める全人代(全国人民代表大会)だと三浦さん。全人代に向けどの程度の「桁外れ」の財政政策を採るか、またその具体的な金額が判断材料になるとのこと。

一方、「現時点までのスタンスを見る限り、財政出動を強化して不足する需要を何とか押し上げようとしており、過度ではないがそれなりに“期待”はできそう」とも付け加えます。