(ブルームバーグ):中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」批判で急先鋒(せんぽう)の複数の人物がトランプ次期政権の要職を占める方向だ。米国内での禁止に直面するTikTokに対してトランプ次期大統領は最近、寛容な姿勢を示しているが、こうした流れに水を差す見通しだ。
トランプ氏はルビオ上院議員を次期国務長官に指名すると発表したほか、対中強硬派ジェイコブ・ヘルバーグ氏を経済およびテクノロジー関連担当の国務次官に起用する考えを表明した。長年TikTokの反対派だったブレンダン・カー氏を連邦通信委員会(FCC)委員長に起用することも決めた。

3人は、1億7000万人を超える米ユーザーを持つソーシャルメディアプラットフォームを中国のバイトダンス(字節跳動)が所有していることは、不透明なアルゴリズムと米ユーザーのデータ収集の影響力で、容認できない国家安全保障上のリスクだと議員らを説得する役割を果たした。
今回の人事は、次期政権、とりわけトランプ氏との間で衝突を引き起こす可能性がある。トランプ氏は1期目にTikTokを禁止する取り組みを支持したが、その後、態度を軟化させた。2024年の選挙戦ではTikTokを活用して若い有権者に働き掛け、同アプリが「人々の敵」であるフェイスブックに対して必要な対抗手段だと指摘した。
ジョージタウン大学法科大学院のアヌパム・チャンダー教授(テクノロジー専門)によると、国務省でルビオ、ヘルバーグ両氏が、近年「浮上したテクノロジー冷戦の雪解けを目指す」可能性は低い。たとえトランプ氏がTikTok以外の分野で中国と取引を試みたとしても、外交トップに選んだ人々から懐疑的な視線を向けられる可能性がある。
チャンダー教授はトランプ氏について「最終的な意思決定者だが、彼らの立場を公に覆すことになる。それは若干、厳しいだろう」との見方を示した。
カー氏、ルビオ氏、ヘルバーグ氏の報道官はコメントを控えた。
ルビオ氏は上院議員として21年に政府端末でのTikTokの使用を禁止する法案を提出した。翌年には同アプリをより広範囲に制限する法案を提出。バイデン大統領が今年4月に署名した超党派法案の土台作りに寄与した。この法律により、バイトダンスが来年1月19日までにTikTokの米事業を売却しない限り、米国内でのTikTok利用が禁止される。
原題:TikTok Hawks Tapped for Jobs Contrast With Trump’s Murky Stance(抜粋)
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