イエレン米財務長官は6日、インフレの鈍化と低失業率で景気全般が支えられているものの、米金融システムは2024年も商業用不動産リスクやデジタル資産を要因とする脆弱(ぜいじゃく)性に引き続き直面したと指摘した。

金融安定監視評議会 (FSOC)を構成する米規制当局のトップは、商業用不動産の信用リスク監視に引き続き注力しており、ウォール街の対応能力を注視し続けるよう当局者らに促したと、イエレン氏は示唆した。

イエレン米財務長官

FSOCはデジタル資産や人工知能(AI)など著しい技術革新により生じるリスクへの対応努力を強化したとも、イエレン氏は説明。そのようなイノベーションは効率化といった利益を市場にもたらし得るが、サイバーや第3者のサービス提供者などを巡る懸念すべきリスクももたらすと続けた。

「当評議会は、ステーブルコインの発行体を対象とする包括的な連邦の枠組み構築に向けた法整備、またわれわれが特定したリスクに対処する暗号資産(仮想通貨)関連の法整備を引き続き求めている。イノベーションを促進しつつ、金融サービスセクターにおけるAI利用に関連した潜在的なシステミックリスクを分析・監視するため、省庁間で専門性をさらに高めることを提言する」とイエレン氏は述べた。

バイデン政権下で公表されるFSOCの年次報告はこれが最後となる。

米連邦準備制度理事会(FRB)や米証券取引委員会(SEC)のトップも参加するFSOCは、2008年の金融危機後にシステミックリスクに対応するために設置された。

原題:Yellen Says Financial System Faces Office Space, Crypto Risk (1)(抜粋)

--取材協力:Viktoria Dendrinou、Katherine Doherty.

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