フランスの資産家ベルナール・アルノー氏は28日、不倫疑惑をネタに同氏を恐喝しようとした企てについて、自分は何も知らなかったと語った。仏情報機関の元局長の汚職裁判で証言した。

フランスの高級品ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンを率いるアルノー氏は、パリの裁判所に証人として出廷。恐喝未遂事件について「何年も後に報道で」知ったと述べ、これまでに非公開で行った捜査員への供述内容を確認した。

同氏は「奇妙な」事件だとし、LVMHで顧問を務めていた故ピエール・ゴデ氏が同社のセキュリティー問題への対応で全責任を負っていたと、裁判官に対し説明。

アルノー氏は、ゴデ氏が「私に相談せずにある程度の決定を下したとしても全く普通のことだ」と指摘。「私は半分余りの時間をフランス国外で過ごしている。私には、権限を与えられ自立した協力者チームがいる」と述べた。アルノー氏自身は不正を問われていない。LVMHはこれ以上のコメントを控えた。

パリの裁判所に到着したアルノー氏(11月28日)

ベルナール・スカルシニ氏は、国内情報局の局長を務めていた際に、アルノー氏を標的とした恐喝の試みへの対応で職権を逸脱した行為があったとされる。スカルシニ氏は不正行為を否定している。

恐喝未遂事件には、元ボディーガードとパパラッチが関与していたとされ、アルノー氏と妻ではない女性を撮影した写真を入手したとして30万ユーロ(約4760万円)を要求したとされている。アルノー氏は、この写真が公表されたことはなく、パパラッチとされる人物も発見されなかったと指摘している。

パリの裁判所での審理は29日まで予定されており、判決は数カ月内に出る見通しだ。

原題:Arnault Denies Knowledge of Blackmail Plot Against Him in Court(抜粋)

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