27日の日本市場では円相場が1ドル=152円台前半に上昇し、3週間ぶりの高値を付けた。米国のトランプ次期大統領による関税政策への警戒感に加え、12月の金融政策決定で日米の政策金利差が縮まる可能性が出てきたことが持ち高調整の円買いを促した。

円は主要通貨に対しほぼ全面高。前日に続きトランプ氏が関税を課すと表明したメキシコ・ペソや中国人民元、カナダ・ドルを中心に円高が進み、対ドルでも一時0.7%上昇した。円高による業績懸念から株式は続落。債券は40年債入札が弱めの結果となった超長期債を中心に下落(利回りは上昇)した。

関西みらい銀行の石田武ストラテジストは、円相場は154円から155円でのもち合い相場から円高方向に動き出し、「上昇しやすい」と指摘。米国が12月会合で利下げに踏み切り、日本銀行が利上げに踏み切った場合、向こう1カ月で150円を超えて円高が進む可能性があるとの見方を示した。

為替

東京外国為替市場の円相場は1ドル=152円台前半まで上昇。日米金利差が縮小する可能性が意識された。トランプ氏の関税政策に対する警戒感に加え、原油先物価格の下落が貿易収支改善につながるとの見方も円買いを後押した。

外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、12月の米利下げと日本の利上げの確率がそれぞれ若干高まっている状況で、ドル安・円高の動きは整合的だと指摘。米感謝祭を前にした「持ち高調整の円買いにつながっている」と語った。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が26日に公表した11月会合の議事要旨では、「緩やかな」利下げに対し幅広い支持が示された。

また、26日にはイスラエルとレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラが停戦で合意。関西みらい銀の石田氏は、投資家心理の改善が円安要因になる一方、地政学リスクの後退で原油価格が下落したことは円高要因と指摘した。

株式

東京株式相場は続落し、主要株価指数は一時1%以上下落する場面があった。円高進行を背景にトヨタ自動車やホンダなど自動車株が下げを主導し、海運や機械、商社株など世界景気敏感業種、保険や証券など金融セクターの一角も安かった。

みずほ証券エクイティ調査部の三浦豊シニアテクニカルアナリストは、円高のほか、トランプ氏の対中関税強化発言を受けて米半導体関連株が安かったことがマイナス要因と指摘。「トランプ氏のツイートで一喜一憂するようなマーケットが続くだろう。政策の柱がアメリカファーストなので、日本株が米国株をアンダーパフォームする状態も続く」と述べた。

アドバンテストなどテクノロジー株の一部もTOPIXの下落寄与度上位に並び、株式売り出しによる需給悪化懸念が強まったサンリオ株が大幅安。一方、26日に自社株買いを発表したオリエンタルランド、これに応募する京成電鉄は高い。

債券

債券は下落。この日行われた40年利付国債入札が弱めの結果となり、40年債を中心に超長期ゾーンに対する売りが膨らんだ。

アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎債券ストラテジストは、入札で生命保険会社の買いを期待する向きもいたが、やや期待外れになったと分析。「今月の30年債入札などで相応に買ったとみられ、利上げ期待が高まる中で急いで買わなくてもいいと判断したのではないか」とみていた。

岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストも、前日の国債市場特別参加者(プライマリーディーラー)会合で超長期債の減額の方向性が出たため、もう少し応札があると予測していたが、入札結果は予想の範囲内ながらやや弱めだったと言う。

入札結果によると、最高落札利回りは2.55%と、市場予想(2.54%)を上回った。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は2.24倍と、前回9月入札の2.58倍から低下した。

新発国債利回り(午後3時時点)

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:横山桃花.

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