セーリングの国別対抗戦、セール・グランプリ(セールGP)が、スイス最大の時計ブランド、ロレックスと10年間のタイトルスポンサー契約を結んだ。ロレックスは世界最高峰の自動車レース、フォーミュラ1(F1)のメインスポンサーから外れていた。

セールGPのラッセル・クーツ最高経営責任者(CEO)はインタビューで、「セーリング界において、圧倒的かつ最大のパートナーシップ」だとロレックスとの契約について語った。

同CEOは米オラクルの共同創業者ラリー・エリソン氏と共に2019年にセールGPをスタートさせた。時速100キロ近い速度で競い合い、「海のF1」とも呼ばれる。

ラッセル・クーツCEO

対抗戦の名称は「ロレックス・セールGP・チャンピオンシップ」に変更される。クーツ氏は契約の詳しい財務内容には触れなかった。

年間売上高が100億スイスフラン(約1兆7400億円)を超えると推定されるロレックスにとって、セールGPのタイトルスポンサーとなることは、スポーティーな若い富裕層に高級時計を売り込む新たな手段となる。

クーツ氏によれば、セールGPへはエリソン氏が資金提供を当初行い、12チームの大半は現在プライベートでの保有となっている。1つのチームを買収する際の評価額は4500万ドル(約70億円)以上に達しているという。

同氏は「どんな新規事業でも、その寿命について常に疑問が投げかけられる。セールGPを設立した際にも、そうした疑問があった」と述べ、チームの幾つかは現在「キャッシュニュートラル」であり、「少なくとも数チーム」が近く黒字になるとの見通しを示した。

「リーグとして成功するだけでは十分でない。チームが商業的にも成功していることを確実にする必要がある」と話した。

ロレックスの国際スポンサーシップマネジャー、ジョエル・エシュリマン氏(ジュネーブ在勤)は、幅広い世代にロレックスの魅力を伝えているが「セールGPはヨットレースの上級者でなくても、ヨットレースを見て楽しめる若い世代や女性層によりアピールする」と指摘。セールGPのスポンサーシップ強化はF1からの撤退とは無関係だと説明した。

25年のロレックス・セールGP・チャンピオンシップは今週末、「エミレーツ・ドバイ・セール・グランプリ」で始まる。

カナダチームの双胴船に施されたロレックスのブランドロゴ(ニューヨークで6月に開催されたセールGPヨットレース)

原題:Rolex Strikes Sponsor Deal With Larry Ellison’s Sailing League(抜粋)

--取材協力:Angelina Rascouet.

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