ベルギーのシュールレアリスム画家、ルネ・マグリットが連作「光の帝国」の一つとして1954年に描いた絵画が、クリスティーズが主催したニューヨークでのオークションで1億2116万ドル(約188億円)で落札された。オークションで落札されたマグリットの作品として最高額を記録したほか、ニューヨークの11月のオークションシーズンにおいても最高額となった。落札者は公表されていない。

今回の出品には第三者による保証が付いており、その額は9500万ドルと伝えられていた。これは第三者がオークション前に実質的に絵画を9500万ドルで購入し、入札額がその金額を超えれば差額の一部を受け取るというもの。受け取る差額の割合は公表されていない。

マグリット作品のこれまでの最高落札額は2022年3月にロンドンで開催されたサザビーズ主催のオークションでの約7950万ドルで、作品は同じ「光の帝国」シリーズの小ぶりの絵画だった。

来春にマグリット作品の大規模な展覧会を企画しているギャラリーのディーラー、ダニエラ・ルクセンブルク氏は、マグリットは16年間にわたり「光の帝国」シリーズの油絵を17点描き、自身のディーラーとともに主要な作品を美術館に展示することに成功したと指摘。今回落札された作品は「世界最大の美術館にも存在するような非常に重要なマグリットの作品」と評価した。

マグリットの「光の帝国」シリーズの作品の一部はニューヨーク近代美術館やグッゲンハイム美術館などに展示されている。

今回落札された絵画は、昨年12月に97歳で亡くなったインテリアデザイナーで社交界の著名人マイカ・アーティガンさんの遺品から出品されたコレクションの一つ。アーティガンさんは1968年に同作品を購入していた。

最近ではシュールレアリスムへの関心が高まっているとルクセンブルク氏は話す。サザビーズが18日夜から開始したオークションウィークでは、シュールレアリスム芸術家のレオノーラ・キャリントンが制作した彫刻が1140万ドルと、オークションに出品されたキャリントンの彫刻作品としては過去最高額で落札された。

ルクセンブルク氏は「文化的・歴史的な観点から非常に重要なものとして関心が寄せられている」とコメントした。

原題:Magritte Painting Sells for $121 Million, Setting Auction Record (1)(抜粋)

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