フランスの人工知能(AI)スタートアップ、Hは、初の自社製品を発表し、新たな資金調達ラウンドの準備を進めている。仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンのベルナール・アルノー最高経営責任者(CEO)らがHに出資している。

Hのシャルル・カントールCEOはインタビューで、同社はライバル企業よりも少ない資金で運営されており、さらに資本が必要になると明らかにした。同CEOはグーグルのAI研究所ディープマインドで働いていたローラン・シフレ氏らと共にHを創業した。

今年パリで設立されたHは、ユーザーに代わりさまざまなタスクを自動的に実行する「AIエージェント」を構築。同社は19日には、最初のエージェントがテスト用に利用可能になったとブログに投稿した。

カントールCEOによれば、Hは年内にさらに製品をリリースする予定で、次の資金調達ラウンドは「数カ月後」に実施される可能性がある。

ベルナール・アルノー氏

Hは、自社のAIモデルを基に構築された「ランナーH」が、米アップルのウェブサイトから自動的に最新ウオッチシリーズのキャッチフレーズを見つけ出す様子を収めた動画を披露。この製品が他のエージェントよりも優れていることを示す評価データも投稿した。

Hはシードラウンド(初期段階の資金調達)で、製品をまだ発表していない企業としては極めて多い2億2000万ドル(約341億円)を集めた。AI関連のあらゆるものが投資を呼び込むブームを象徴している。

シードラウンドにはアクセル・パートナーズやアマゾン・ドット・コム、サムスン電子などが投資家として参加。アルノー氏はベンチャーキャピタルファンド経由で出資し、グーグルのCEOだったエリック・シュミット氏らも資金を投じた。

マイクロソフトやアンソロピックなども自律エージェントツールを開発しており、競争の激しい分野で事業を展開しているHだが、「オペレーションを巡る相違」を理由に3人の共同創業者が退社したことで最初の1年は厳しい状況に置かれた。3人は以前、ディープマインドに在籍していた。

カントールCEOは3人の退社について、「過去のことだ」と話し、パリとロンドンで50人のエンジニアとセールス担当から成るチームが拡大しつつあると説明した。

原題:French AI Startup Backed by Arnault Plans to Raise More Funds(抜粋)

--取材協力:Mark Bergen.

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