米アマゾン・ドット・コムの幹部は9月に米議会に呼び出され、下院の中国共産党に関する特別委員会との非公開会合に出席、同社と中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の関係が強まっていることに関し説明を求められた。

事情に詳しい関係者によると、同委員会は中国のバイトダンス(字節跳動)が所有するTikTokとアマゾンが8月に発表したショッピングに関する提携についてただした。この会合はこれまで報道されてこなかった。

中国政府による脅威に対処することを目的とする同委員会は、米経済をけん引する大企業が、国家安全保障上の懸念から禁止の瀬戸際に立たされている中国系企業と提携したことを危惧。

同委員会の報道担当はブルームバーグに対し、「TikTokが国家安全保障上の深刻な脅威をもたらすことを踏まえ、アマゾンがTikTokと提携することは危険であり、賢明ではないと伝えた」と語った。

TikTokのクリエーターがTikTok支持のプラカードを掲げる(2023年3月)

アマゾンの広報担当者は電子メールで、同社は「他の多くの米企業と同様、政策立案者や従業員、顧客にとって関心のある問題について話し合うため、政府のあらゆるレベルの当局者とオープンな意思疎通を維持している」と説明した。TikTokはコメント要請に応じなかった。

米国では今年、バイトダンスがTikTokの米事業を売却しない限り、国内でTikTokを禁止する法律が成立している。

アマゾンが議会に呼び出されたのは、TikTokユーザーがTikTokアプリを離れることなく、アマゾンで商品を購入できる提携を同社が発表してから1カ月後だった。

ユーザーはTikTokフィードに表示される広告から直接アマゾンで商品を購入でき、アマゾンとTikTokのアカウントをリンクすることで手続きを迅速化できる。アカウントはその後、今後の購入でも同期された状態が維持される。

この提携により、アマゾンはTikTokの膨大なZ世代のユーザーベースにアクセス可能になる。一方、アマゾンの信頼性を活用し、米国でのさらなる浸透を図りたいTikTokは、禁止の可能性が迫る数カ月前にアマゾンと提携。

バイデン大統領が4月に署名した法律により、バイトダンスが来年1月19日までにTikTokの米事業売却に同意しなければ、TikTokは全米で事実上閉鎖されることなる。

ただ、同法の成立以後、TikTokと新たなプロジェクトを開始したり、契約を結んだりした米国の大手企業・団体はアマゾンだけではない。米プロフットボールのNFLは9月、TikTokとのビデオパートナーシップの複数年延長を発表。

音楽配信プラットフォームのユナイテッドマスターズはTikTokと新たな複数年契約を10月に結び、今週にはソーシャルショッピングツールのLTKもTikTokとの新たな連携を発表した。

この相次ぐタイアップは、少なくとも一部の米企業はTikTokの禁止が実現する可能性は低いとみていることを示唆している。トランプ次期大統領はTikTok禁止に反対する意向を示しており、禁止阻止に動く可能性もある。

原題:Amazon Questioned by Congress Over Growing TikTok Relationship(抜粋)

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