(ブルームバーグ):米通商代表部(USTR)のタイ代表は14日、中国が自動車やクリーンエネルギー製品、半導体などを米国に大量に流入させるのを防ぐため、的を絞った関税の活用が必要との認識を示した。
バイデン政権で中国との貿易交渉を率いてきたタイ氏はインタビューで、米国が投資誘致を探っている分野の一部製品に対する輸入関税は、2度目の「チャイナショック」を防ぐ米国の「防御」策だと述べた。
チャイナショックという言葉は、中国が世界貿易機関(WTO)に2001年に加盟した後に生じた経済・社会的な混乱を指し、衣類や電子機器、機械、家具などの産業に壊滅的な打撃を与え、米国では数百万人の雇用が失われた。
アジア太平洋経済協力会議(APEC)のためペルーのリマを訪れている同氏は「経済問題として、政治問題として、社会問題として、米国で誰が政権を握ろうとも、『チャイナショック2.0』には耐えられないだろう」と語った。
一方、タイ氏はトランプ次期大統領が提唱しているような一律の関税賦課には警告を発した。トランプ氏は大統領選の間、外国製品すべてに10-20%の関税をかけ、中国からの輸入品には60%以上の関税を課すと繰り返し述べていた。
タイ氏はトランプ氏を名指しすることはせず、「関税は解決策の一部だ」と強調。
「ただ単に課税するだけでは効果的ではない。達成しようとしていることに対してセオリーが必要だ」とし、米国にとってそれは、今後数十年の成長の原動力となる「これらの重要な産業に目を向け、米経済を強化することだ」と話した。
同氏によると、「中国が抱える問題を理解する一つの方法は、その巨大さ、すなわち国際市場を支配し、競争相手を排除し、すべての利益を手中に収め、あらゆる選択肢を奪う能力という点」に着目することだ。「経済安全保障や経済的威圧を巡る協議は、APEC地域では非常に顕著であり、ここ数年のわれわれの取り組みの一部だ」という。
バイデン政権は米経済をより包括的なものにすることを推進しており、その貿易協定には包括性を高めるメカニズムが組み込まれるようにしており、これは多くの他の国々も共有している目標だと指摘。「これが世界経済が向かうべき方向だと確信している」と語った。
原題:US Trade Chief Says Targeted Tariffs Needed to Avoid China Shock(抜粋)
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