ロンドンの高級ショッピング街の店舗空室率は2019年以来の低水準となった。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に相次ぐ店舗閉鎖に見舞われた家主にとっては朗報だ。

英不動産仲介業者サヴィルズの調査によると、ロンドン有数のショッピング街であるオックスフォードストリート、ボンドストリート、リージェントストリートの空室率は7-9月(第3四半期)に3.2%と、40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。

いわゆる「会社任意整理手続(CVA)」を通じ、小売店の支援に向けた賃料減額が可能になったことが市場回復につながった。コロナ禍の数年間に数千軒の店舗が閉鎖され、店舗の評価額は大きく落ち込んでいた。

世界最大の資産運用会社ブラックストーンは4月、ニューボンドストリートの物件を2億3000万ポンド(約455億円)で取得。同社が実店舗型の小売業に再び軸足を移したことを示した。

サヴィルズの調査ディレクター、マリー・ヒッキー氏は、リーブス財務相が今月発表した予算案は小売業者にとって逆風の一つだと指摘。国民保険料における雇用主側の負担引き上げといった政策が「コストや利益率に影響する可能性から、競争面のテンションがやや和らぐかもしれない」との見方を示した。

それでも、借り手は一等地での長期リース確保に引き続き重点を置いており、スペース需要は今後も続くと予想されると付け加えた。

米商業用不動産サービス会社CBREグループの英小売り部門責任者グラハム・バー氏によれば、オックスフォードストリートではこの1年間に旗艦店の賃貸契約が急増している。

「オンライン小売りが成長を続ける中、店頭での体験の充実に重点が置かれている。一等地の小売店舗空室率はコロナ禍前の水準に戻りつつあり、今やコベントガーデンやリージェントストリートなどの地域では需要が供給を上回っている」とバー氏は語った。

CBREの10月のリポートによると、シャネルやグッチなどの高級ファッションブランドが軒を連ねるニューボンドストリートの賃料は10年以来3倍に上昇している。

原題:Prime Retail Vacancies in London Fall to Lowest Since Pandemic(抜粋)

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