記事のポイント
・電気・ガス代補助金について、政府が25年1月から再開する方向で調整に入った模様。一定の仮定を置いて試算すると、補助金復活により25年2~4月の消費者物価指数が▲0.4%Pt程度下押しされる。同時期の実質賃金押し上げに寄与する見込み。
・消費者物価指数を前年比で見る場合、前年の裏要因も加わって電気・ガス代補助金が大きな撹乱要因となる。物価の基調判断においては除いて考えることが望ましい。
・現時点では3か月間の期間限定復活が想定されているようだが、すんなり終了できるかどうかは不透明感大。25年夏には再び補助金が復活する可能性も十分ある。

電気・ガス代補助金が再び復活か

10月使用分をもって終了した電気・ガス代の負担軽減策について、政府が25年1月から再開する方向で調整に入ったと報道されている。本稿では、これによる消費者物価指数への影響を検討する。

23年1月使用分より開始された電気・ガス代の負担軽減策(電気・ガス価格激変緩和対策事業)は、当初、電気料金は家庭向けで1キロワットアワーあたり7円、ガス料金は1立方メートルあたり30円の補助が実施されていたが、23年9月使用分より電気料金で3.5円、ガス料金で15円に補助が半減されていた。これが24年5月使用分でさらに半減(電気料金で1.8円、ガス料金で7.5円)され、6月使用分ではゼロ(補助終了)となった。しかし、「酷暑乗り切り緊急支援」により支援が一時的に再開され、8、9月使用分には電気料金で4.0円、ガス料金で17.5円、10月使用分には電気料金で2.5円、ガス料金で10.0円の補助が出た。

この「酷暑乗り切り緊急支援」は8月~10月の期間限定であり、10月使用分をもって既に補助が終了している。しかし、物価高が続く中、家計支援が必要との声は大きく、11月中に政府が策定する経済対策に電気・ガス代の補助再開が盛り込まれる方向で議論が進んでいるようだ。補助再開の時期、補助の大きさ、期間等については今後詰めていくことになるが、報道によると、25年1月再開、電気料金で2.5円、3か月間といった数字が候補に挙がっている模様である。25年1月の使用分か請求分かは不明だが、おそらく使用分のことと思われる。また、電気料金で2.5円という数字は直近10月の補助額と同じである。