ソニーグループが8日に発表した7-9月期(第2四半期)の営業利益は、前年同期比73%増の4551億円で、市場予想(3353億円)を上回った。

発表資料によると、第2四半期は家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」の値上げによる収益性改善に加え、自社制作以外のソフト販売増が寄与したゲーム事業が大幅増益になった。為替の好影響などで半導体事業も好調だった。一方で映画事業は減益となった。

PS5は発売から4年目に入り、ライフサイクルの後半に入っているが、第2四半期はPS5の販売台数が380万台以上と前年同期比で約2割減にとどまった。中国製ビデオゲーム「黒神話:悟空」のヒットなども貢献し、ハードとソフトの両面で好調だった。

プレイステーション5

ブルームバーグインテリジェンスの若杉政寛アナリストは、「ゲーム事業がとても強い印象だ」と述べた。その上で、「イメージセンサーは北米顧客向けが当初より減少しそうだが、ゲームでカバーできているので全体ポートフォリオとしてうまく機能している」とした。

9月にはPS本体や関連周辺機器を値上げしたほか、7日に発売した上位機種「Pro」も強気の価格設定をしており、通期での粗利益率の押し上げ効果に寄与しそうだ。

ただ自社制作ソフトについては懸念も残る。8月に発売したライブサービスゲーム「コンコード」は発売から2週間足らずで販売停止し、同タイトルを開発したスタジオの閉鎖も発表した。

十時裕樹社長は8日の会見で、コンコードの早期撤退について、ユーザーテストや社内評価など「もう少し早いタイミングで検証を重ねるべきだった」と総括した。今期のハード販売計画1800万台は維持するとした。

半導体で下方修正

一方、今期(2025年3月期)の営業利益予想は、前期比8.4%増の1兆3100億円を据え置いた。ゲーム事業は従来の3200億円が3550億円に上方修正された一方で、半導体事業は同2750億円が2500億円に下方修正されている。

これについて十時氏は、顧客の生産計画の見直しに伴って下方修正に踏み切ったと説明。「いろいろな理由で生産調整はある」とし、来期以降の同事業の見通しに変化はないとみている。ソニーGは米アップルのiphone向けに画像センサーを供給する。

次世代半導体の量産を目指すラピダスの追加出資についてはコメントを控えたが、半導体産業は経済発展や経済安全保障政策上も極めて重要だとした。その上で、半導体エコシステムが再強化されるのであればよいことだとし、「一定の貢献はきちんとしていきたい」と述べた。

今期見通し

今期の売上高予想については、従来の12兆6100億円を12兆7100億円に引き上げた。想定為替レートは1ドル=146円前後(従来148円前後)に変更し、1ユーロ=160円前後は据え置いた。

  • 売上高:前期比2.4%減の12兆7100億円-市場予想12兆6721億円
  • 営業利益:前期比8.4%増の1兆3100億円-市場予想1兆3260億円
  • 純利益:前期比1%増の9800億円-市場予想1兆0116億円

(会見の内容を追加します)

--取材協力:望月崇.

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