国民民主党の玉木雄一郎代表は1日、金融政策の変更は来年の春闘の動向を見極める必要があるとし、3月までは利上げをすべきではないとの認識を明らかにした。ブルームバーグとのインタビューで語った。

玉木氏は「物価上昇率プラス2%の名目賃金上昇率が安定的に達成するまでは金融緩和と積極財政をやるべきだ」と指摘。来年の春闘で特に中小企業の賃金上昇率の度合いを見て、金融緩和の変更あるいは金融政策の正常化に踏み出すべきだと述べた。3月まではすべきではないかとの問いに、「すべきではない」と答えた。

円安の一因として日米の金利差が指摘されていることに関しては、「過度に為替への影響を意識して金融政策を動かすべきではないと思っている」と語った。米国の金融政策も絡むことから、「一国だけでは解決できないような問題に右往左往するのではなく、安定的な名目賃金上昇率を達成するための金融政策、財政政策をしっかりやれ、ということに尽きる」との見解も示した。

国民民主党の玉木代表(1日・都内)

日本銀行は先月31日の金融政策決定会合で現行の金融政策を維持した。植田和男総裁は追加利上げの重要な判断材料となる賃金・物価情勢に関し、一般労働者の所定内給与の伸びが「2%のインフレ目標と整合的な範囲に入ってきている」と指摘。「利上げのタイミングに予断を持っていない」とし、早期利上げの可能性も匂わせた。玉木氏は賃金上昇率は不十分として利上げは早急との立場を明確にした。

所得減税

国民民主は衆院選で議席数を4倍の28議席に増やし、自民・公明の連立与党、野党第1党の立民がいずれも衆院で過半数に満たない中で、「キャスチングボート」を握る立場にある。与党は経済対策や税制改正などの協議を通じ、予算や法案審議など国会運営で協力を求めていく方針だ。

国民が特に求めているのは、年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」を178万円へ引き上げる所得減税だ。衆院選で掲げた公約の目玉と位置付けており、玉木氏はインタビューで、その実現に「こだわっていきたい」と明言した。

政府は仮に基礎控除の額を国・地方で75万円ずつ引き上げた場合に「7兆円から8兆円程度の減収」が見込まれると試算しているが、他の野党などから所得の高い人ほど減税額が大きくなるとの批判も受けている。

こうした見方に対し、玉木氏は、4兆円から5兆円程度の税収減を想定しているが、消費の活性化に効果があるため、トータルでは大きく減らないと反論した。非課税枠を178万に恒久的に引き上げれば、「消費マインドはガラッと変わるだろう」とも述べた。

動画:国民民主党の玉木雄一郎代表は1日、ブルームバーグとのインタビューで、所得減税や日本銀行の金融政策について話しました。

玉木氏は10月31日、自身のX(旧ツイッター)で「103万円の引き上げができなければ、わが党は予算にも法案にも協力できません」と投稿するなど同政策の実現を迫る姿勢を鮮明にしている。国民はこのほか、ガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」の凍結解除や消費税減税、現役世代の社会保険料軽減、教育や人づくりに充当するため毎年5兆円の教育国債の発行も主張している。

玉木氏は1993年に旧大蔵省入省、2009年の衆院選で旧民主党から香川2区で立候補し、初当選した。現在の国民では20年の設立時から代表を務めており、交流サイト(SNS)などを通じて積極的な情報発信を行っている。

他の発言

  • あらゆる意味で国民負担を求めるような話は今、やるべきではない-防衛増税
  • 来年度の減税が決まるのであれば、前倒し的に一部補正で取り入れることも-所得減税

(玉木氏の発言を追加し、更新しました)

--取材協力:萩原ゆき.

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