(ブルームバーグ):11月の米大統領選でトランプ前大統領が勝利すれば、対立候補のハリス副大統領が当選した場合と比較して、株式と暗号資産(仮想通貨)ビットコインを保有する投資家はより多くの恩恵を受けるだろう。一方、ハリス氏が政権を握るシナリオの方が、わずかながら住居費負担の軽減につながると期待されている。最新のブルームバーグ「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」調査が示した。
米株式相場は年初から足元まで約22%上昇しているが、「ハリス政権」よりも「トランプ政権」の下で株高は加速する可能性が高い。今回の調査に参加した回答者350人の約38%は、共和党候補のトランプ氏が勝利した場合、足元から今後1年の株高加速につながると予想。民主党候補ハリス氏の勝利による株高加速を見込む回答は13%だった。
とは言え、ハリス氏の下で予想される株価上昇ペースについて質問したところ、現状ペースを「維持」あるいは「加速」するとの回答を合わせると全体の半分近かった。トランプ氏の下でいずれかの相場展開を見込む回答者は59%を占めた。

選挙が市場に与える長期的な影響は限定的となる傾向がある。ジム・リード氏率いるドイツ銀行ストラテジストのリポートによれば、所属政党に関係なく直近15人の大統領のうち、任期中の株式リターンが年換算で10-17%を維持したのは13人だった。
また、大統領選通過後は、不透明感の払拭(ふっしょく)で株価が上昇する傾向がみられる。過去8回の大統領選についてブルームバーグがまとめたデータでは、S&P500種株価指数が投票日から半年間に平均6.6%上昇。投票前半年間の平均上昇率は1.5%にとどまっている。

バーデンス・キャピタル・アドバイザーズの最高投資責任者(CIO)、メーガン・ホーネマン氏は「市場のパフォーマンスは、ホワイトハウスのあるじが誰になるかよりも経済のファンダメンタルズや業績見通しとの関係がより深い」と指摘した。
ハリス氏勝利の方が住宅購入希望者にはポジティブとみられている。フレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)の24日の発表によると、30年物住宅ローンの平均金利は6.54%と、8月初め以来の高水準となった。次の大統領の任期終了時の同金利水準について質問したところ、調査参加者の予想中央値は、ハリス氏が5.5%、トランプ氏は5.9%だった。
住宅ローン金利は米10年債利回りに追随する傾向があり、住宅の購入可能性を左右する主因となっている。潜在的な購入者の多くは近年、借り入れコストの低下を待ちながら静観している。
住宅価格の上昇と株高は、多くの米国人の資産増加につながる。安全資産として保有されやすい金の価格も上昇しており、2024年は年初来で30%余り値上がりしている。
調査に参加した回答者のうち、トランプ氏が勝利した場合に金の価格が1年後にさらに上昇すると予想した割合は約57%。一方、ハリス氏勝利の場合の金価格上昇を予想した割合は45%だった。

一方、ビットコインはトランプ氏勝利の場合、8万ドルを突破して最高値を更新するとみられている。調査回答者の予想中央値が示した。ハリス氏勝利の場合は約6万5000ドルと、現水準の6万7000ドル近辺から下落する見込み。
MLIV調査は10月21-25日にブルームバーグ・ニュースの読者を対象に端末とオンラインで実施され、回答者にはポートフォリオマネジャーやエコノミスト、個人投資家が含まれる。
原題:Harris or Trump, American Wealth to Grow Either Way: MLIV Pulse(抜粋)
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