(ブルームバーグ):米消費者金融保護局(CFPB)は24日、働き手の監視を容易にする新たなテクノロジーが広がっていることを受け、企業に対し従業員を追跡したり評価したりするツールを本人の許可なく使用しないよう求めた。
CFPBは声明で、従業員を評価するため、アルゴリズムを用いたスコアリングやバックグラウンド調査などのツールを導入する雇用主が増えていると説明。
こうしたツールを使用した第三者によるリポートは、労働組合結成や離職などの予測のほか、従業員のパフォーマンスやソーシャルメディアでの活動の追跡に使用され、キャリアアップや採用を巡る判断に影響を与え得ると警告した。
CFPBのチョプラ局長は声明で、「労働者は基本的な保護がないまま、歯止めのない監視の対象となったり、不透明な第三者の報告にキャリアを左右されたりすべきではない」と指摘。「クレジット市場で長年見られてきたスコアリングやプロファイリングが今や雇用など生活の側面にまで浸透しつつある」とコメントした。
CFPBは第三者の報告書を使用する企業に対し、公正信用報告法(FCRA)の規定に従うよう義務付けることで働き手を保護するガイダンスを発行。
このガイダンスでは、労働者の同意を得ることやネガティブな決定に用いられたデータについて透明性を確保すること、不正確な情報に対し労働者が異議を唱えるのを認めることなどを求めている。CFPBはガイダンスの対象となる企業を明らかにしていない。
CFPBによると、従業員は個人情報が集められていることや企業が収集する情報の内容について認識していないことが多い。例えば、従業員の行動を監視し従業員の業績評価に使用することが可能なアプリを個人用の携帯電話にインストールするよう義務付けている雇用主もいるという。
場合によっては情報がセンシティブな内容で採用を巡る判断やキャリアアップに影響を与える可能性もある。またその情報が誤っている場合もあり、不当な扱いを受けたり、就職する機会を逃したりすることにもなりかねないとCFPBは警鐘を鳴らしている。
CFPBのガイドラインでは、企業はそのような場合に検証できない情報を訂正または削除し、「労働者がこれらリポートの誤りにより不当に罰せられずに事実関係を明確にする機会を持てる」必要があるとしている。
原題:Top US Consumer Watchdog Warns Firms Over Tracking Workers(抜粋)
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