中国は市場安定化基金の創設を後押しするため2兆元(約42兆6000億円)の特別国債を発行すべきだと、政府系の有力シンクタンクが指摘した。

中国メディアの澎湃新聞が国務院直属の中国社会科学院金融研究所の発表を引用して報じたところでは、この基金は優良株や上場投資信託(ETF)の売買を通じて市場安定化を図るという。

中国当局は株式・経済の活性化に向けて9月下旬に打ち出した一連の景気刺激策の一環として、こうした基金を検討しているが、構想の詳細はほとんど公表されていない。

それとは別に、中国人民銀行(中央銀行)は上場企業や大株主に自社株買い資金を融資する専門の再貸付ファシリティーのほか、機関投資家が株式を購入するための流動性を提供するスワップファシリティーなどのプログラムを開始した。

景気刺激策を追い風に記録的な上昇を見せた中国株は、このところやや勢いを失っている。CSI300指数は今月の高値から7%下落し、9月の安値からの上昇率を約25%に縮小した。

現在注目されているのは今後数週間内に開催予定の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会。同委員会では数兆ドル規模の政府支出が承認されると見込まれている。

エバコアISIは、11月の米大統領選挙で共和党候補のトランプ前大統領が勝利した場合、中国は最大11兆元規模の財政刺激策を打ち出す可能性があると予想する。

同社の中国調査担当マネジングディレクター、ネオ・ワン氏(ニューヨーク在勤)は「トランプ氏が米大統領に返り咲いた場合の市場の動揺を和らげるため、中国政府は1兆-2兆元の超長期特別国債の発行計画を発表する公算が大きい」と述べた。

原題:China Think Tank Urges $281 Billion for Market Stabilization (3)(抜粋)

--取材協力:Jenni Marsh.

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