米証券取引委員会(SEC)の調査部門は来年、金融機関による人工知能(AI)の活用状況について監視を強化する方針で、規制当局がそうした新興テクノロジーに対する懸念を強めていることをあらためて示唆した。

21日に公表されたSEC調査部門の報告書によると、SECは投資アドバイザー、ブローカー、清算機関などが当局のルールを順守するよう万全を期すため、AIツールに関する各社の発表を注視していく見込み。また、トレーディングや不正防止、マネーロンダリング(資金洗浄)対策の方針に関連した業務におけるAI利用を各社がどう監督しているかについても調べる。

SECは昨年、AIリスクを調査の監視項目リストに載せたが、最新の報告書ではさらなる詳細に言及。これに先立ち米連邦準備制度や消費者金融保護局(CFPB)を含む多くの金融規制当局がこの新たなツールにはチャンスだけでなく深刻なリスクもあると警告し、差別からシステミックリスクの可能性に至るあらゆる事柄について警鐘を鳴らしていた。

SECのゲンスラー委員長

SECは企業が機械学習などのツールをどう活用しているかを偽って伝える、いわゆる「AIウォッシング」を取り締まっており、ゲンスラー委員長はAI活用の誇張に対して再三警告している。

金融サービス業界向けコンサルティング会社カプコのエグゼクティブディレクター、ピーター・デュガス氏はSECの監視項目リストについて、AI基盤技術の急速な発展を反映していると指摘。

さらに、投資家や企業の取締役会はプロセスを迅速化するための自動化ツールの導入を望んでいるが、企業は当局のルールを順守し、顧客へのリスク開示を確実にする必要があると語った。

原題:SEC to Increase Scrutiny of AI Tools Used by Brokers, Advisers(抜粋)

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