米国株のすさまじい上昇相場は、米大統領選といった大きな不確定要素にもかかわらず、2024年の最終局面まで続く見通しだ。最新のブルームバーグ「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」調査が示した。

調査回答者411人の予想中央値に基づくと、S&P500種株価指数は年末までに6000に接近するとみられている。これは18日終値を2.3%上回る水準。回答者の4分の3は現在の決算シーズンが同指数を押し上げると予想。株式市場のパフォーマンスにとっては、企業業績の方が11月の米大統領選の結果や米金融政策の行方よりも重要だとみられている。

今週の米株式市場は、企業業績が大きなハードルになる。S&P500種を構成する企業の約20%が決算発表を予定しており、それにはテスラやIBMといった大手企業も含まれる。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のデータによると、S&P500構成企業のうち約70社がすでに決算を発表しており、そのうち76%が予想を上回る業績を公表した。

 

テスラに続き、他のいわゆる「マグニフィセント・セブン」銘柄であるアップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、エヌビディア、メタ・プラットフォームズも今月下旬から決算を順次発表する予定。これら巨大ハイテク企業は昨年から株式相場をけん引することが多かった。だが、連邦準備制度が9月に2020年以来の利下げに踏み切り、金融や公益事業などの銘柄が押し上げられる中で、これらハイテク銘柄は7-9月期に後れを取った。

調査回答者は、ハイテク大手が再び相場のけん引役になると予想。マグニフィセント・セブン銘柄の指標は10月に入ってから0.9%下落しているが、10-12月期は市場全体を上回るか、同等のパフォーマンスを達成すると予想する回答者は75%に上った。投資家が強気な理由の一つは、S&P500構成企業の利益成長の大部分が依然としてマグニフィセント・セブンによって生み出されていることだ。

「さえない四半期後のマグニフィセント・セブンの追い上げは、今まさに注目すべき魅力的なトレードだ」とアイキャピタルのチーフ投資ストラテジスト、アナスタシア・アモローゾ氏は述べた。

S&P500種は今年を5977で終えると調査回答者の予想中央値は示している。18日の終値は約5865。同指数は年初から23%しており、先週の2回を含め、終値ベースで過去最高値を47回更新した。

ゴールドマン・サックス・グループのトレーディングデスクが集計した1928年までさかのぼるデータによると、10月中旬から12月31日までのS&P500種のリターンは過去の中央値でおよそ5%。選挙の年にはさらに大きく上昇し、約7%となっている。

企業業績をより重要視

今回の調査は、ハリス副大統領とトランプ前大統領による接戦となっている米大統領選の投票日が近づく中で行われた。

最近では、共和党候補のトランプ氏が勝利すれば恩恵を受けそうな資産に投資する「トランプトレード」の復活が話題になっている。暗号資産(仮想通貨)ビットコインやトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ株などだ。しかし回答者の45%は、株式ポートフォリオにとって最も重要なのは企業業績の強さだと答え、選挙結果を挙げた回答者は39%、米金融緩和の度合いを挙げた回答者は16%だった。

「選挙では自分の支持する候補者が当選するかどうかで感情が大きく揺さぶられるが、それをポートフォリオに持ち込むべきではない」と、資産運用アドバイザリー会社ハルバート・ハーグローブのブライアン・スピネリ共同最高投資責任者(CIO)は述べた。

 

テクノロジー株のウオッチャーが注目しているイベントの一つは11月に発表されるエヌビディアの決算だ。前回決算の発表後、エヌビディア株は数日間下落した。11月の決算発表後のエヌビディア株の動きをどう予想するかとの質問に対し、「上昇する」との回答は45%と最も多かった。エヌビディアは人工知能(AI)ブームのシンボルのような銘柄であり、同社の株価は今年に入ってほぼ3倍に上昇している。

 

回答者はハイテク株に大きな期待を示したが、金融株も今四半期にS&P500種のけん引役になると期待されている。

その予想は今のところ的中している。金融セクターは10月に入ってから5%上昇し、S&P500種の11グループの中で最も大きく上げている。これは金融機関の好業績に後押しされたものだ。銀行株は米利下げ局面に好パフォーマンスを見せる傾向がある。

MLIV調査は10月14-18日にブルームバーグ・ニュースの読者を対象に端末とオンラインで実施され、回答者にはポートフォリオマネジャーやエコノミスト、個人投資家が含まれる。

原題:S&P 500 Set to Grind Higher Toward 6,000 Milestone: MLIV Pulse(抜粋)

(調査結果の内容を追加して更新します)

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