(ブルームバーグ):米メタ・プラットフォームズの「インスタグラム」は17日、ソーシャルメディアに広がるセクストーション(性的脅迫)対策として、数百万人のティーンエージャーに警告を発する動画の配信を米国と英国、カナダで開始した。
セクストーションは、アプリ上で10代の少女になりすました人物がアプリユーザーをターゲットにヌード写真などを送信するように強要する犯罪で、インスタグラムや米スナップの「スナップチャット」などで広がっている。犯罪に巻き込まれ、自殺に追い込まれる若者も出ている。
メタによれば、この動画は「セクストーションについて話し合おう」という呼びかけで始まり、10代を中心とした若年層に配信。「相手がしつこく迫ってくる」や「みだらな写真の交換を要求する」など警戒すべき兆候を示し、若者たちがどこに助けを求めればよいかを明示している。
加害者は被害者に対し、友人や家族に画像を転送すると脅迫するなどしている。インスタグラムの「フォロワー」「フォロー中」リストをスクロールすることで友人・家族の情報を見つけ出している。
ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌は4月、同誌の調査でこうしたセクストーションの被害に遭い自殺した未成年者が2022年以降で20人を超えていることが分かったと報道。加害者の多くがナイジェリアを拠点としているとも伝えた。
この調査報道後、「フェイスブック」も展開しているメタは不審なプロフィルを特定するテクノロジーを活用し、セクストーションに関与したナイジェリアの6万を超えるアカウントを削除。
スナップもセクストーションに関わった人物を特定する技術で、プラットフォームから悪質なユーザーを排除していると発表した。スナップチャットはインスタグラムと異なり、ユーザーの友達リストを非表示にしている。
メタは「詐欺の可能性があるアカウント」が他のユーザーのネットワークを閲覧できないようにすることで、同社のプラットフォームのセキュリティーが強化されると説明。こうした取り組みは一定の効果があるとみられるものの、ティーンエージャーがフォロワーとフォロー中のリストを非表示にできるようにすることがより有効な対策だとの指摘もある。
インスタグラムにはフォロワーに対し友達リストを非表示にするオプションがなく、詐欺師らは友達リクエストを送信するだけで、そのユーザーがつながっている全ての人にアクセス可能。
セクストーションの手口を長年調べている独立系情報アナリストのポール・ラフィーレ氏は、「フォロワーとフォロー中のリストを全て非表示にし、それをデフォルトにすれば、この犯罪をほぼ完全に根絶できる」と分析している。
メタによると、同社はティーンエージャーが簡単に新しいアカウントを見つけるためフォロー中とフォロワーのリストを活用できるようにしつつ、悪意のあるユーザーから保護できるようバランスに配慮している。
同社のセーフティー部門グローバル責任者アンティゴネ・デイビス氏はブルームバーグテレビジョンとの17日のインタビューで、「興味のある人を見つけたりつながったりするのに重要な機能だ。アプリを楽しむための貴重な機能として保護したいが、同時に、詐欺師たちに悪用されないよう考えている」と述べた。
メタによれば、ティーンエージャーが共通のフォロワーを持たない外国の人物から連絡を受けた場合、警告が送られる。
原題:Instagram Warns Teens With ‘Talk About Sextortion’ Video (1)(抜粋)
--取材協力:Paayal Zaveri.
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