(ブルームバーグ):4日の東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=145円割れまで上昇した。日本銀行の植田和男総裁の緩和調整方針を受けた円買いの流れに、株式相場の急落によるリスク回避の買いが加わっている。
東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは円上昇について「前日に米国株価が大きく売られたことで全体的にリスク回避になっている。日銀追加利上げ観測もくすぶっている」と指摘。日経平均株価が1000円超の急落でもそれほど円買いが進んでいないのは、「投機筋のショートポジションが手じまいされているほか、日米金利差も残っているので円を積み上げる動きもなりにくい」と述べた。
4日の東京株式相場は大幅に下落。日経平均株価は節目の3万8000円を下回り、下落率は4%を超える場面がある。8月の米供給管理協会(ISM)製造業総合景況指数が市場予想を下回り、米経済への懸念から投資家心理が冷え込んでいる。
三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役(ニューヨーク在勤)は、「米金利が大きく低下したことや米製造業指数が市場予想に届かなかったことでドルが売られ、米株価が大きく下げてリスクオフ的な動きで円が買われた」と説明。植田日銀総裁の方針も円買い材料となり、値動きが大きくボラティリティー(変動率)が高いと指摘した。
経済・物価見通し実現なら利上げ継続-諮問会議で植田日銀総裁
3日の米株式相場でS&P500種株価指数は大幅安、米10年債利回りは7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。米供給管理協会(ISM)が発表した製造業景気指数は節目の50を5カ月連続で下回り、製造業活動の低迷が当面続く公算が大きいことを示唆した。
市場では6日の米雇用統計に対する注目度が高い中、それまでに発表される経済統計をにらんだ展開となっている。4日には米地区連銀経済報告(ベージュブック)や米求人件数(JOLTS)などが発表される予定だ。

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