(ブルームバーグ):4日の東京株式相場は大幅下落し、日経平均株価は一時4%を超える下げとなった。8月の米供給管理協会(ISM)製造業総合景況指数が市場予想を下回り、米国経済への懸念から投資家心理が冷え込んだ。為替の円高も重しとなり、東証33業種は全て安い。
米国市場でエヌビディアが急落するなどハイテク株が安く、日本市場でもルネサスエレクトロニクスやアドバンテスト、東京エレクトロンなど半導体関連銘柄の下げが目立つ。金利低下が嫌気され、銀行や保険といった金融株も下落。原油安を受けて鉱業や石油・石炭製品なども売られている。
世界トップクラスのパフォーマンスを見せていた日本株は8月5日、1987年10月のブラックマンデー以来の暴落に見舞われ、一転して世界的株安の震源地となった。これは日本銀行による7月31日の利上げに端を発した円高と、米国経済への懸念によって引き起こされたもので、きょうの相場急落とも重なる。
日銀の植田和男総裁が3日、経済・物価の見通しが実現していけば利上げを継続する姿勢を改めて示したことで、日本の金利上昇に対する懸念が再燃。為替市場では円が対ドルで一時144円台に上昇し、輸出企業の収益懸念が強まっている。
陣インベストメント・マネジメントのシニアポートフォリオマネジャー、ラファエル・ネメット=ネジャット氏は、植田総裁の見解が日本株の重しになったと説明。さらに米ISM指数が弱かったことで、米国のリセッション(景気後退)懸念も再燃したと述べた。
一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は、ISM指数では雇用の改善が示されたとして、米景気のハードランディング懸念というより利益確定売りの口実になったとみる。需給面では日経平均が3万8000円台まで回復したことで、8月初旬に買った投資家などからの利益確定売りが出やすかったとも話した。

--取材協力:佐野日出之、我妻綾.
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