日本製鉄は29日、買収を計画するUSスチールの製鉄所に計13億ドル(約1880億円)の追加投資を行うと発表した。米大統領選を前に全米鉄鋼労働組合(USW)などが反対するなど逆風が吹く中、新たな投資計画により買収への支持が広がるかが注目される。

日鉄の発表によると、ペンシルベニア州のモンバレー製鉄所には少なくとも10億ドルの投資を行い、「今後何十年にわたり稼働させる計画」となっている。インディアナ州のゲイリー製鉄所には3億ドルを投じて高炉を改修し、今後20年程度設備の稼働が延長されると期待しているという。

日鉄はUSWからの理解を得るためこれまでUSスチール設備への2026年までの投資を14億ドル増額することなどを提示してきたが、詳細は明らかにしておらず組合側から批判されていた。今回、投資の具体的な中身を明らかにし長期のコミットメントを示したことでUSWとの関係が改善する可能性はあるものの、買収計画への賛成が得られるかには不透明感が依然として漂っている。

USW国際会長のデービッド・マッコール氏らは発表を受けて出した声明文で、日鉄は「大口をたたいているが、結局のところプレスリリースは契約書ではない」と述べた。同社や日鉄が言うことは「信用できない」と批判、これまでと大きな変化はないとの認識を示した。

日鉄とUSスチールは昨年12月、買収に合意。その後、同計画はUSスチールの4月の株主総会で承認されたものの、米当局の承認はまだ得られていない。当初は今年4-9月としていた買収の完了時期は7-12月に先送りされている。

原題:Nippon Steel Plans Additional $1.3 Billion Spending at US Steel(抜粋)

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