14日の日本市場は株式が下落。日経平均株価は一時700円超下げた。自民党と公明党の連立解消に加え、米トランプ政権の中国に対する関税政策への懸念から売りが先行している。

自公の連立解消を受け、首相指名の行方や新政権の枠組みが見通しにくくなった。自民党総裁の高市早苗氏の首相誕生を前提とした財政・金融政策への期待で進んでいた「高市トレード」が先週に日本株を最高値まで押し上げたが、ここにきて巻き戻しが進んでいる。

トランプ米大統領は10日、11月1日から中国製品に100%の追加関税を課す方針を示し、特定の米国製ソフトウエアの輸出も制限すると発表。円相場は10日に対ドルで一時151円前半まで1%以上上昇した。その後は中国に対する強硬姿勢が和らぐとの観測が広がり、きょうは152円台半ばで推移している。

債券市場は前週末の米長期金利の大幅低下を受けて買いが先行。政局の不透明感が高まり、日本銀行の今月の利上げは一段と難しくなったとの見方も支援材料になっている。

株式

株式相場は下落。自民党と公明党の連立解消による国内政局不安や米中貿易摩擦の再燃懸念から医薬品や電機、銀行などが安い。半面、半導体や人工知能(AI)関連の一角が堅調。アジア時間の米株先物堅調も投資家心理の支えとなり、株価指数は下げ渋っている。

野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは、公明党の連立離脱から「首相指名選挙まで日本株は様子見ムードが続きやすい」と語る。一方、成長シナリオが明確な半導体などAI関連株に投資資金が向かう可能性があるとも指摘した。

アジア時間の米S&P500種Eミニ先物は0.2%高と堅調に推移している。みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは、国内の政治不安はマイナス影響だが、それよりは「今晩の米株が(米中の緊張緩和で)続伸するだろうという期待感で下げ幅を縮めている」と述べた。

為替

外国為替市場の円相場は対ドルで152円台半ばに下落。トランプ大統領による対中強硬姿勢が和らぐとの見方からドル買いが優勢になっている。

みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは、ベッセント米財務長官の発言を受けて投資家のリスク回避姿勢が和らいでいることに加え、日本の政局の流動化で円が売られやすくなっていると語る。

ベッセント氏は13日、FOXニュースとのインタビューで「トランプ氏は韓国で習氏と会う予定だ。その会談は依然として実施されるとみている」と述べた。

債券

債券相場は先物が上昇。米トランプ政権の中国に対する関税政策への懸念から前週末の米長期金利が大幅に低下した流れを引き継いでいる。日銀の利上げが後ずれするとの観測も中長期債の支えになっている。一方、15日に行われる20年利付国債入札への警戒感から超長期債は売られている。

SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、日銀は政治とのコミュニケーションが一段と取りづらくなり10月利上げの可能性は低下していると指摘する。スワップ市場が織り込む10月の利上げ確率は1割程度に低下している。

奥村氏は混沌(こんとん)としている政治情勢について、高市氏が首相に就任しても予算編成が難航し、財政拡張が難しくなるとみる向きがある一方で、玉木雄一郎国民民主党代表の首相シナリオも否定できず、「内閣不信任案の提出や解散総選挙も意識され、金利にプレミアム(上乗せ金利)が乗り続ける」とみる。

20年債入札についても「政局の不透明感から投資家が慎重化し、低調な結果に終わるリスクには注意が必要だ」と言う。

13日の米債券市場はコロンブスデーの祝日で休場。10日の米10年国債利回りは前日比11bp低い4.03%程度で引けた。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:横山桃花.

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