シリーズ「現場から、」です。ロシアによる“子ども連れ去り”問題で、16歳の時に連れ去られ去年11月にウクライナに帰国を果たした青年がJNNの取材に応じ、ロシアによる「うそ」や「脅し」を証言しました。
今月1日、ロシアによる子ども連れ去り問題の解決を求める会議が開かれ、ウクライナの子どもたちが自らの体験を語りました。会場には1人の男性の姿が。ボグダンさん(18)です。
ボグダン・イェルモヒンさん(去年11月)
「私はいま、ロシアにいます。私が故郷に帰れるように助けてください」
ボグダンさんは去年11月、SNSで助けを求め、およそ1年半ぶりにウクライナへの帰国を果たしました。
16歳の時連れ去られたボグダン・イェルモヒンさん
「うんざりする日々でした。毎日を無かったことにして、記憶の中から消そうとしていました」
ウクライナ南東部出身で16歳だったボグダンさんは侵攻開始の2か月後、ほかの子ども30人とともにロシアに連れて行かれました。
子どものリハビリが目的と主張するロシア政府は施設の映像を公開。ボグダンさんによると、多くの子どもが帰国を望んでいたもののロシア側の“ある言葉”に希望を口にする子どもは減ったといいます。
ボグダン・イェルモヒンさん
「(ウクライナでは)子どもは臓器が売買される。大人は動員されて戦地に送られる、と」
ほとんどの子どもはそのままロシアで養子となり、ボグダンさんにもパスポートが交付。自ら出国を試みましたが、国境付近で警察当局に捕らえられました。
しかし、その出来事は事実とは違うかたちで報じられました。
「ウクライナの連れ去り計画は失敗しました」
ロシア国営テレビは里親のもとに連れ戻されたボグダンさんを取材。ほかの子どもと一緒にいる場面などを映し出し、「子どもを取り戻す活動をしているウクライナ側の弁護士に帰国を強要された」など、ロシア側の主張に沿うようなインタビューが放送されたのです。
「『(ウクライナ側弁護士に)我々が連れて帰るか、お前が自分で帰るかのどちらかだ』と言われました」
ボグダン・イェルモヒンさん
「撮影をされたくないのは見ればわかると思います。ウクライナや世界の人たちが馬鹿げた話を信じるのではないかと思い最悪の気分でした」
ボグダンさんはその後「ウクライナには行きたくない」という書面にサインをさせられましたが、助けを求める動画を担当弁護士が世界のメディアに発信。一転して、ロシア側が帰国を認めたのです。
帰国したのは、ロシアで徴兵対象となる18歳の誕生日でした。
侵攻開始後、ロシアに連れ去られた子どもはおよそ2万人。そのうち、帰国したのは2%未満です。
ボグダン・イェルモヒンさん
「戦争や連れ去りに関与している全ての人が逮捕されるべきだと思う」
ボグダンさんは連れ去りの体験を世に広め、問題解決を求める活動に加わる決意です。

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