フルーツ王国・山梨の主力品種で高級ブドウと言えばシャインマスカットですが、今、花に起きる原因不明の障害に懸念が広がっています。
開花シーズンが本格化する中、県は対処法の指導や情報収集に乗り出しています。


山梨市にある県の果樹試験場です。

栽培技術の指導担当が確認しているのは、シャインマスカットに起きる障害=未開花症の対処法です。

「未開花症」は、花を覆うキャップ状の部分=花冠が外れなくなり、正常に花が咲かなくなる原因不明の障害です。
ここ数年、山梨を含めた全国のシャインマスカットの産地で相次いで発症が確認されています。

県農業技術課 熊王広之 技術指導監:
(未開花症は)奇形になってしまって粒がいい形にならず、商品にならない症状。

有効な対処法として、房の先端以外から余分な花を落とす「房づくり」をする時に、上の一部にも花を残し、障害が出なかった部分を育てることだといいます。


県果樹試験場 農業革新支援専門員 綱倉享さん:
もし先端が未開症になっても、上で作れば同じくらいの房ができるので、収穫に対しての影響は全く無いと考える。

未開花症は、これまで県内の発生は限定的で、全体の収穫量に大きな影響はないということです。

今シーズン、県には2件の発症が報告されていて、県は6月上旬まで続く開花の時期に合わせて、農家にこの対処法を実践して欲しいとしています。



県農業技術課 熊王広之 技術指導監:
去年少なかったからといって、今年どうかというのが全く誰も予想できないことが一番怖い。農家の収入にも直結するので、いい房が作れるように指導したい。
対処法があるとはいえ、やはり期待が集まるのは原因の究明。
そこで県はSNSを活用します。


県農業技術課はLINEアカウントを開設し、未開花症が発生した地域や被害の程度、実際の写真といった情報提供を呼びかけ、原因の究明に役立てます。

県農業技術課 熊王広之 技術指導監:
「自分の園はこうやったところ少なくなった」といった情報を寄せてもらえれば、原因究明に早く近づける。

LINEアカウントには350件を超える登録と10数件の情報が寄せられていて、県は多くの農家への協力を呼びかけています。