地元である山梨県富士吉田市にUターンしてカフェをオープンした男性をご紹介します。

お店は70年続いた実家の豆腐店を改修。あらたな形で歴史を紡いでいます。


山梨県富士吉田市下吉田の「フートコーヒーアンドベイクショップ」。


店主の梶原正裕さん(43)。およそ20年間東京と大阪の和菓子店やカフェで働いていましたが、地元の富士吉田市にUターン。


2022年1月に店をオープンしました。



フート コーヒーアンドベイクショップ 店主 梶原正裕さん:
20代のときからカフェの開業を考えて、それに向けて色々準備をしていたところでコロナもあり、東京から離れようと思ったところで、こちらで開業することを考えました。

梶原正裕さん:
あえて炭酸を入れてふわっと焼き上げている。

こちらの看板商品は、カフェでは珍しい「どらやき」。

生地から餡子まですべて自家製で毎朝およそ50個を焼き上げます。


梶原正裕さん:
(最初に)和菓子屋さんに勤めることになったんですが、和菓子もコーヒーと同じで素材を生かすという考えがあって、それぞれの良さを引き立たせてくれるんじゃないかと思って。


梶原正裕さん:
僕の場合は(コーヒー豆)を食べるんですよ。火がちゃんと入っているかどうか確認します。(一口飲む)軽さは出たが、甘みがなくなったので、もう少し細かくして挽きます。


コーヒーは世界各地の豆を取り揃え、焙煎の状態や豆が持つ酸味、苦みなどで挽き方を細かく調整します。


梶原正裕さん:
こんにちは。エルサルバドルの豆が入ってきていて、それがすごくフルーティーでこっちほど酸味が際立っていないんですが。

お客さん:
新しい豆が続々と入ってきますね。(そうなんです)じゃ、新しい方で!

梶原正裕さん:
かしこまりました。


地元の女性客:
人柄に惹かれてコーヒーもおいしいし、フートさんという名前が「ふぅー」っと落ち着くということで毎日来ています。


観光客:
(西裏は)古き街並みが楽しめますと観光協会で言われて来た。その中でも浮いているわけではなくて、すごくいい雰囲気だなと思いました。


実はこちらのお店。もともとは梶原さんの両親が営んでいた「梶原豆富店」でした。


梶原正裕さん:
小さいときは人が行き交うような賑やかな商店街だったんですが、お店が一つ減り二つ減りどんどんシャッター街となっていってしまって、今では更地になるような場所も増えてきてしまっているので、寂しさを感じています。


最盛期にはおよそ200店があったとされる西裏地区は、店主の高齢化とともに年々その数が減少、今は半数ほどに。


8年前、父親の体調不良をきっかけに梶原豆富店も73年の歴史にシャッターを下ろしたのです。


梶原正裕さんの母 妙子さん:
主人と私と2人だけでいろいろ作っていたんです。朝起きると仕事場行って油揚げ揚げたり生揚げ揚げたり、朝から晩まで仕事していたので、閉店はちょっと寂しかったですね。

梶原さんにとっては祖父の代から続いてきた思い出の場所。

常に美味しいものを提供し、地域の人を笑顔にしてきた想いをつなごうと、店の名前は豆腐にちなみ逆から読んだ「フート」に。


梶原正裕さん:
豆腐屋自体は継げなかったので、せめて豆腐屋だったという物だけは残していきたい思いはある。将来的には豆腐を使ったお菓子とかドリンクとか、ゆくゆくはお店の看板となるような商品を開発していきたい。


梶原正裕さんの母 妙子さん:
すべて手作りで頑張って美味しいものを食べさせてあげようとしているので、それはずっと守ってもらいたいなと思っています。

長きにわたり愛されてきた街の豆腐店。

思いを受け継いでできたカフェが歴史を紡いでいきます。



梶原正裕さん:
この地域は目的を持たないと来ない場所だと思うんです。(この店が)地域の魅力を伝えていけるのではないかと思うので、少しでも目的地の一つになっていきたいなと思っています。