2022年、山口県防府市の高齢男性(当時75)から、約1250万円が入ったポーチを盗み取るなどしたとされる男(27)の判決公判が8日、山口地裁であり、男に懲役4年(求刑懲役4年6か月)の実刑判決が言い渡されました。
この男は“半グレ”組織から2度監禁され、金を要求される中での犯行でした。この半グレ組織は、“ルフィ”と名乗る人物を指示役とし、関東で相次いで発生している強盗事件に関連していることが分かっています。
暴行と窃盗の罪に問われているのは、住所不定・無職の男(27)。判決によると男は2022年6月、山口県防府市の高齢男性の自宅前で、高齢男性の顔に催涙スプレーを吹きかけ、約1250万円が入ったポーチをひったくりました。
山口地裁であったこれまでの裁判で、事件のいきさつが明らかになりました。
男は“半グレ”と呼ばれる、暴力団ではない反社会的な“組織”から与えられた営業の仕事をしていました。この組織は、関東の広域強盗事件に関与しているとみられています。男は組織の金を盗んだなどと因縁をつけられ、2000万円を払うよう要求されたことから犯行を決意。2022年5月、友人と組んで、この高齢男性から金を奪おうとしたところ、友人が逮捕されて失敗しました。6月には別の友人に借りた運転免許証を使って広島県でレンタカーを借り山口県へ。その2日後、1人で犯行に及んだといいます。
2人の友人は2022年10月、稲城市の住宅にハサミを振り上げながら押し入り、家族3人の両手首を粘着テープで縛るなどの暴行を加えてけがをさせ、現金約3500万円と金塊など141点、860万円相当を奪った疑いで逮捕されました。また、免許証を借りた友人は去年11月、岩国市の会社役員の男性の自宅に侵入し、金品を奪おうとしたとして、共犯の4人の男とともに、強盗未遂と住居侵入の罪で起訴されています。
1月17日に山口地裁であった裁判で検察側は、男が過去、地元の先輩に誘われ実行したオレオレ詐欺で逮捕されたことを指摘。男は2019年10月の仮出所後、栃木の実家で過ごしていましたが、同じ先輩に誘われ、再度半グレ組織とつながりを持つようになりました。男は因縁をつけられて2000万円を支払うよう組織から要求され犯行に及んだものの、ひったくった1250万円のうち組織に渡した金は600万円で、自分の手元に600万円以上置いていて、逮捕されるまでの間、質屋で窃盗を繰り返していました。逮捕時、男の所持金は86万円ほどでしたが、残りの約560万円は逃走中の生活費や借金の返済などに充てていたということです。