山口県周防大島町の町立病院の歯科で、使用済み金歯などの“歯科金属スクラップ”が正しく処理されていないと指摘されている問題です。町内の歯科医師会が2日会見を開き、会の一員が町立橘医院に勤務する男性歯科医師(50)を、業務上横領の疑いで刑事告発したと発表しました。
この問題は橘医院の歯科で、使用済み金歯などの「歯科金属スクラップ」の量が少ないことから、正しく処理されず不正販売などの疑いが指摘されているものです。大島郡歯科医師会によると2001年の開設当初から約20年にわたり、適正に処理されておらず、売却することで町が得られるはずだった3000万円ほどの財政収入が失われた可能性があるとしています。
歯科医師会が調査を求めたところ、町は「許可なく東日本大震災の被災地に歯科金属スクラップを寄付したと認められる」として、去年12月に橘医院の男性歯科医師(歯科主任部長)を減給10分の1、1か月の懲戒処分にしました。これを受けて会の一員が、“被災地に寄付した”行為が業務上横領にあたるとして、この男性を刑事告発したということです。
町からは寄付先や量、方法などの具体的な回答がなかったことから、歯科医師会は「町の財産が持ち出され、町民の中で疑いが生じている。丁寧な説明を」と訴えています。町は刑事告発について「内容がわからないのでコメントできない」としています。