山口県阿武町が誤って1人の住民に4630万円を振り込んだ事件で、誤ったものと知りながら別の口座に振り込み、不法に利益を得たとされる田口翔被告(24)の2回目の公判が、27日午後3時から山口地裁(山口市)で始まります。

田口被告は午後2時45分ごろ、弁護人の山田大介弁護士らとともに歩いて裁判所へ入りました。黒色のスーツ姿で、報道陣からの呼びかけに答えることはありませんでした。

起訴状によりますと、田口被告は今年4月、町から振り込まれた4630万円が誤ったものと知りながら、ネットカジノの決済代行業者の口座に振り替え、不法に利益を得たなどとして、電子計算機使用詐欺の罪に問われています。

田口被告は警察の調べに「オンラインカジノに使った。うまくいけばお金を増やせると思った」と供述。これまでに阿武町は業者などから4630万円を回収しました。田口被告は町に解決金347万円あまりを支払い、謝罪することなどで、和解が成立しています。

10月に行われた初公判で、田口被告は「振込操作をしたのは私であり、間違いありません。大変申し訳ないことをしたと思っております」と述べました。田口被告はスマホを使い、ネットバンクで送金していましたが、弁護人の山田大介弁護士は「送金の時にうその情報を入力していない」などとして、電子計算機使用詐欺の罪にはあたらないと、無罪を主張しています。

きょうの裁判では田口被告の弁護人が、過去の判例などから田口被告が無罪であると主張するほか、検察側が求刑を行い、審理を終えることになっています。判決は来年2月に言い渡される予定です。