「この生活を終わりにしたい」抱きついてきた娘に襲いかかった瞬間

犯行当日。この日も気持ちが落ち着かなかった女は、仕事中の夫に「帰ってきて」「どうしたらいいのかわからない」とメッセージを送った。しかし夫は「仕事中で帰るのは難しい」と、帰宅しなかった。

女は洗濯などの家事を済ませ、四女が1人でいる寝室に向かった。部屋に入ると、四女が抱きついてきた。母親はそれを受け止め、娘をあおむけに寝かせたあと、ふとこう思った。「この生活を終わりにしたいー」。

そして、母親は娘の首を両手で締めつけた。

四女は母親の手を外そうとしたり、蹴ったりして抵抗したが、それでも絞め続けた。次第に娘の顔面が赤くなり、鼻血を出したのを見て、女はわれに返った。「このままでは死んでしまう」女は娘の首を絞めるのをやめ、消防に通報した。

「子どもは希望で大事な宝物」と語った母親 法廷で明かされた複雑な心境

一方弁護側は、女が育ってきた不遇な環境を明かした。女は子どもの頃、実の母親を交通事故で亡くし、祖母と再婚相手の男性と3人で暮らした。酒を飲むと日常的に暴れる男性だった。酔って祖母を包丁で刺したり、家に火をつけたりしたという。女は不登校になり、精神的にも不安定になった。就職をしても、続かない状況だった。

また子どもを児童相談所に預けざるを得なかった時、女はSNSの相談サイトに「もういなくなりたい」「こんな母親はいらない」と投稿していて、不安定な状態が続いていた。

検察側の証人として証言台に立ったのは、娘を鑑定した法医学の教授だった。
教授は四女について、けい部のうっ血がひどかったことから、このまま首を絞め続けていたら死に至る危険性があったと指摘した。