お年玉の相場は変わっている?「お年玉をあげる側」になるのはいつ?
2024年もあと4日、新年を迎える準備は進んでいますか?
大掃除や年賀状の用意など忙しい年末ですが、この時期気になるのがお年玉事情。いくらあげる?いつまであげる?お年玉の疑問について、お年玉事情に詳しいファイナンシャル・プランナーの後藤文恵さんに話を聞きました。

──お年玉文化が始まったのはいつなのでしょうか?
諸説ありますが、そもそもお金ではないんです。室町時代や鎌倉時代に、お正月に品物を渡す文化から出たとも言われています。そこから江戸時代以降に、お金を渡す文化になりました。
年の初めに「神様をお迎えする行事」がお正月と言われています。神様が降りてくるときに、お餅に神様の魂が降りてくる。そのお餅を家族などで分けて、持ち帰って1年の「無病息災」を願う。「神様から魂をいただく」ということで、文化になりました。魂の持ち玉=おとしだまそれが語源と言われています。
──お年玉の金額について、一般的な相場はあるのでしょうか?
家庭の環境、家族同士など渡す側の人間関係にもよりますが…一般的に言われているのは、大学生だと1万円前後、高校生だと5千円~1万円。中学生だと3千円~5千円、それ以下だと千円から3千円。以上が、大体の一般的な相場になっています。
──お年玉の「渡し方」は最近変わってきているのでしょうか?
年齢が高い子どもに限って「キャッシュレスでくれない?」「電子マネーに入れてくれない?」という子も多いです。でも、渡す側からすると現金で渡したいところですよね。お年玉は、単にお小遣いをあげるだけではなく、昔からの日本の良い文化の一つだと思うんですよね。キャッシュレスの時代ですけど、できればきちんとポチ袋に入れて渡すのが良いかなと思います。現在は“現金派”が多いと思います。
──お年玉を“あげる時のマナー”はあるのでしょうか?
決まったマナーはありませんが…「神様が宿られたものを分ける」という文化の1つですので、できれば新紙幣の新札で、ポチ袋にいれて、「あなたに用意ました」という宛名を書く、裏面に自分の名前を書くということまでしていただけると、文化としてより良いかなという気はします。
──お年玉を「あげる側」になるのはいつなのでしょうか?
自分自身が「養ってもらう側」から「養う側」になる、そこがポイントだと思います。「自らの収入で生活し始める」とかが分岐点になるでしょう。大学生でも、アルバイトしている人で「あげる」という人もいます。一方で、ご家庭によっては「結婚するまではずっともらう」という人もいらっしゃいます。
──経済的な環境が変化する中で、お年玉をあげる側に金額の変化はあるのでしょうか?
あまりないと思います。ただ、もらう側の状況からすると、昔は親戚が多く集まっていましたよね。お正月は、祖父母の家に家族が集まっていました。ただ今は、お正月であっても、お盆であっても、色々な事情で集まれなくなっていますよね。お正月に集まる文化も、少しずつ少なくなってきているので、子どもたちの収入は減ってきているという感覚はあるのかなと思います。
──お年玉文化は今後どうなっていくと思われますか?
個人的な見解ですけれども、人と人との関係が希薄になっていく、子どもの数も少子化で減っていく…という中で段々「お年玉」として渡す人は減っていくかなと。最近は、お盆に「お盆玉」というを渡す人がいるのを聞いています。由来はどうなのかなという気はしますが…