「ヒラメ養殖を仕事にしたい」

幼いときから魚が好きだったという小酒井さん。水産高校に入学して種苗生産や養殖に興味を持ちました。学校でヒラメを育てた経験から、「ヒラメの養殖を仕事にしたい」と、夢を追って、ひとり、山口県にやってきました。今は、もともとやりたかったヒラメの養殖ではなく、種苗生産の担当ですが、学ぶことは多いといいます。

小酒井さん
「本当に毎日やりがいを感じて、やっぱ自分の夢を実現できて今やってるっていうのは、自分に誇りを持って仕事とか作業が出来てるなと思っています」

進む高齢化、若手へ技術継承を

下松市栽培漁業センターの高卒の新入職員は小酒井さんらが41年ぶり。少数精鋭で多くの魚を育てなくてはいけないことから、これまでは、どうしても即戦力となる経験者を雇うことが多かったといいます。
しかし職員も高齢となり、「技術を若い世代に継承しなくては」と、久しぶりに新卒者の採用に踏み切りました。漁業のこれからを担ってくれるであろう若い世代の活躍に、先輩も期待を寄せます。

下松市栽培漁業センター・倉本悟課長補佐
「僕たちももう定年組になりますんで、今年しっかり技術を伝承して、これから頑張ってほしいです。もちろん今までやってきた技術もあるんですが、それに伴って自分たちも新たにこういうこと取り組んでみようと、やっぱり目標があってやってもらったらいいですね」

担い手の高齢化は、センターだけでなく、漁業全体の問題でもあります。県内の漁業就業者の数は、2008年には6700人あまりいましたが、去年は2825人と、半分以下にまで減っています。そのうち10代、20代の割合はわずか3パーセントにとどまっています。さらに、近年は「子どもの魚離れ」も叫ばれています。

小酒井さん
「自分は全然一人前じゃないですし、まだまだ自分が担っていくレベルではないので、まだ。頑張ってこれからレベルを上げていって、種苗生産とかを若者が担っていく、自分がパーツとなっていけるように今頑張ってますね」

漁業が厳しい状況に立たされる中、大好きな海の生き物たちを守るために。そして、これからの漁業を支えていくために。先人たちから次の世代へ、技術だけでなく、思いも引き継がれていきます。